猫を拾いました。

僕は猫を拾った。
真っ白な毛並みがとても綺麗で、夜闇の中でも輝いて見えるような綺麗な子猫。住んでいるアパートはペット禁止なのだが…猫は鳴かないし、犬と違ってトイレも特にしつけることなく用意してやればそこでしかしないから大丈夫だろう(※絶対にダメです。よい子は真似しないでネ!)。
そんなこんなで、その子猫を拾ってから一ヶ月がたとうとしている。
子猫…エルエルフはとても可愛いです。



「ただいまエルエルフー、」

ぼろアパートの錆びた階段をカンカンと革靴の高い音を響かせて登り切り、自室の鍵を開けて生活の中唯一の癒しへと声をかける。もちろん返事はない。
彼は、とても気難しくて照れ屋だから出迎えになんて来てくれたことは一度もない。
でも、

「ただいま。今日も一日そこにいたの?」
「…にゃあ」

狭い自室の中、少しでもくつろげるようにと奮発したクッションのような柔らかなソファーの上に丸くなったエルエルフに声をかければ小さく返してくれる。
眉間を指先で擽れば、喉を鳴らしはしないものの目をうっすらと細めて気持ちよさそうな顔で僕の顔を見る。
この、エルエルフとのふれあいが忙しく潤いのない生活の中で唯一の僕の癒しになっている。

「今日は残業があったから少し遅くなっちゃって…ごめんね?」
「にう」
「ちょっと待っててね、今着替えてすぐにご飯用意するから」
「にゃ、」
「そうだ、今日は遅くなっちゃったお詫びにあの缶詰あけようか…ほら、エルエルフの好きなマグロいっぱい入ってる高いヤツ。」
「!にう!」

着替えながら話しかければ、邪魔にならない少し離れたところでちょん、とお澄ましめいたお座りをして返事を返しながら待ってくれる。
この、少し離れたところと言うのが彼が賢いところで、前に一度スーツのズボンにスリ、と身体を擦り付けたことがあり、その時についた毛を愛おしみながらコロコロで取っている作業を見てからはスーツの時には決して自分の体がくっつかないところにいる。
うちのこホントに賢い。
そんなことを考えつつ部屋着のスウェットに着替え終えれば、「にゃあ」と近づいてきて僕の足にすりすりとすり寄り、すっと離れていく。
このエルエルフの一日に一回のデレ期がホントにたまらなくかわいい。

「さ、ご飯用意できたよ。」
「にう、」
「僕はお弁当今チンしてるから…エルエルフは先に食べててもいいんだよ?」
「、にー」
「僕が一緒に食べるの待っててくれるの?」
「に、」
「ふふ、ありがとうエルエルフ」

うちのこ本当にかわいい、賢い、かわいい(悟)
一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に寝て。
もうエルエルフがいない生活は考えられないくらい、僕の生活の中にはエルエルフが基本として組み込まれつつある。
そろそろ貯金も十分たまったし、ペットOKの少し高めのアパートにでも引っ越そうかな、と考えつつ、足下にいる温もりの存在に心を癒されながら眠りにつくのだった。









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