もしも坂田にストーカー被害を相談したら 「ということでここにきました。」 「どういうことだよ。」 目の前の男は気だるそうにそう言ってお馴染みのいちご牛乳を飲む。私が事のいきさつを詳しく説明すれば更にその表情の気だるさと、瞳の濁り具合が増した。どいつもこいつもか弱いレディーが困っているというのにどういうことだよ。 「つーかなんでここにいんの、家で大人しくすりゃよかったんじゃね?」 「なんだかんだあのニコチンマヨネーズに家まで送ってもらって家の中に盗聴器とかないか調べてもらったけど怖くて結局ここにきました。」 「帰ってください。」 そう言って目の前の男、銀さんは立ち上がり冷蔵庫からアイスを取り出すと黙々とそれを食べ始めた。私も無言で立ち上がると冷蔵庫にあった未開封のいちご牛乳を手に取りソファに座ってそれを飲んだ。すると銀さんがイラっとした顔を見せたがもうそれやるからおとなしく家帰れよ、あと百二十円おいてけ、と言った。やだね。 「なんだかんだあのマヨラーが家まで送ってやった上にきちんと警察の仕事やってやったんだからそれでいいじゃねえか。」 「よくないよ、犯人捕まってないじゃん。私もう怖くて洗濯物も外に干せないよう。実際ブラジャーとパンティもう五個も取られたんだよ?お気に入りのやつばっかり。」 「どうせスポブラとかだろ?」 「違うしぃ、レースとかヒモパンとかサテンとか、黒とかピンクのとかだしぃ。」 「何それ俺も欲しい。」 「犯人はお前か!」 「ちげーよ!」 銀さんはアイスを食べ終わるとソファにゴロンと突っ伏してそこらへんに転がっていたジャンプを頭に乗っけて一眠りするようだった。私はそれをいちご牛乳を飲みながら眺める。 「ねえ銀ちゃん、助けてよー。」 「やだよめんどくせえ。」 「じゃあ助けてくれたらおっぱい触らせてあげる。」 「マジで?」 「マジで。」 「…………。」 「…………。」 「…まあそれならヤらねえでも、」 「やっぱりお前が犯人か!しかも『ヤらねえでも』って言ったしもう確信犯!」 「だからちげーよ!つーかおっぱい持ち出したのてめーじゃねえか!」 「ストーカー怖すぎ最低!もう犯人銀さんでいいよもう。」 「じゃあもう俺でいいからおっぱい触らせてくんね?」 「丁重にお断りします。」 【検証結果=被害が拡大する恐れがある。】 2013.03.23. |