うちの部下が反抗期なんだが | ナノ


「あーぁ、エース隊長を尻に敷きたいなあー。」
「燃やすぞ。」




ぽつりと独り言を言った直後にふと横から聞き慣れた声が聞こえて、振り向けばそこには眉間に皺を寄せて此方を睨んでいる隊長が目に入った。私が、あ、居たんですかとわざとらしくおどけて言えば、隊長は更に眉間の皺を濃くさせて、今にも私を本当に燃やそうと言わんばかりの体勢を取っていた。

「まあまあ、そんなぷりぷりしなさんなって隊長。」
「黙れ、お前が怒らせたのに何でそんな冷静なんだよ。」
「あはは、なあに、さっきのはただの独り言ですよ。」
「その独り言が気に食わねェんだよ、てめェの野心は心ん中にしまっとけ!口に出すな!」

怒りを露にしている隊長を宥めるように言葉を掛けたがやはり効かなかった。ああ面倒くさい上司だなあ、やっぱり私が隊長になった方が良かったんじゃないのー?と心の中で思ったが、それを言ったら火に油を注ぐのは間違い無いので我慢して言わなかった。怒った隊長は何時も以上に熱くて敵わない。どうやって治めようかなあと思っていたところにタイミングよくバナナかパイナップルか解らない独特のアイデンティティー(てかヘアースタイル?)を持った男が一人、現れた。

「またケンカかよい、」
「おっ!いいところに来てくれた!助けて下さいよー。」

そう言って然り気無くマルコ隊長の背中を借りて後ろに隠れた。そしてそれをいいことにエース隊長に向かってざまあ見ろと言いた気な眼差しを送った。

「てめ、マルコ!みかんの味方する気かよ!?」
「何言ってんだよい、敵も味方もねえよい。そんくらいにしとけ。」

マルコ隊長の慈悲深い言葉を聞いてエース隊長もクールダウンしたらしく、不満な表情は変わらずも黙った。
私はそれを見ていたら思わず零れた。

「…ぷ、(ちょ、マジであの隊長の顔ウケる(笑)これが本当に二番隊隊長の姿なんだろうか?親父が見たら泣くな。やっぱり私が代わって二番隊の隊長を務めるべきだよね、てか隊長になりたい。)」
「…かっこの中丸聞こえだぞ。」
「あら?私としたことが、心の内が声にだして出ちゃってましたか。あのー、何かすみません。」

そう言ってペコリと頭を下げて謝ったのに、隊長は何故か益々怒った。マルコ隊長は私を可哀想な物を見るかのような目で見ていた。

「ちゃんと謝ったじゃないですか。」
「おめェ、心から俺を隊長として敬ったことねぇだろ?」
「心外だなあ、私は常日頃から隊長に忠誠を誓っているのにぃ。」
「信用できねぇな。野心ばっか言ってるくせによ。」
「まあまあ、野心と忠誠心は紙一重とか何とか言うじゃないですか。」
「「言わねえよ(い)」」


野心と忠誠心は紙一重ですか?


(あれ、二人ともハモった。)


20100811.
2015.10.10.加筆.

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