ジャンと一緒に泣いてみる 「……ジャン。」 「!?おま、居たのかよ。あっち行けよ、馬鹿。」 「……泣いてるの?」 「泣いてねえからあっち行けっつってんだろーが!」 「泣いてるじゃん、ジャン泣いてるジャン。」 「うるせーよ、つーか用がないならほんとにあっち行け。」 「……やだよ。」 「んでだよ。」 「放っておけないもん。」 「…………。」 ああ、くそう。ごしごしと乱暴に腕で自分の顔をこする力が強い。さっきまでふざけて冷やかしに来たみたいな雰囲気醸し出してたくせに、急に泣きそうな顔しやがって。起ころうと思ったのに思わず口紡いじまったじゃねーか。気まずくて黙ったままうつむいていたら膝においていた手に暖かいのが乗っかって来て思わず肩を震わせる。かと思えば急にぎゅうううと握られて思わずは!?とか言う間の抜けた声が出た。そしたらとなりのバカは面白そうにクスクス笑っている。頬が熱い。言われなくとも自分が今どんな顔してるかなんて嫌というほど想像がつく。ああくそう、ああもう。よりによって、なんでこんな奴に心臓がうるさくなってんだよ。頼むから落ち着いて鼓動を刻んでくれ。 「泣かないで、なんて言わないから、」 「…………。」 「一緒に泣くくらい許してね。」 そう言ってお前が笑ってなくもんだから涙も引っ込んだ。馬鹿野郎、そう言って俺も笑ってそれから静かに泣いた。握られた手が熱い。 (そのぬくもりを待ってたんだ。) 2013.10.25. |