膝枕エース 「力抜けよ、」 言われるがまま、お腹に溜まっていた息をゆっくりと吐き出す。だが未だ身体中の硬直は溶けなかった。お腹の底が擽られたような感覚になり、膝には彼の髪の毛が当たり、身動きが取れなかった。彼は私のお腹の方に向き直すと、腕を腰に回した。 「柔らかいな、」 「そう?」 そっと彼の額に手をあてて撫でると、エースは気持ちよさそうに瞼を閉じた。彼が呼吸する度に、その振動が膝から伝わってきた。暖かくて、それでいて気持ちいい。 午後を過ぎた頃の日差しは絹のように滑らかに木々や地面を照らし、葉は青々として、空に向かって必死に背伸びしていた。 シート越しに地面の暖かな温度が足に伝わってきて、まるでこの場所だけ天国のように思える程居心地がよかった。 「…眠くなってきたな。」 目を擦りながら小さく欠伸をして、エースはぼんやりと瞼を開けた。ふわりと柔らかな風が吹いて前髪を揺らした。彼はまだぼやけた視界の中で、手を伸ばすと、乱れた私の前髪を掻き分けた。 「眠いなら寝てもいいよ。」 「…んん。」 小さく頷くとまたゆっくりと目を閉じた。私も同じように静かに瞼を閉じた。この幸せな時間が続くようにと、小さく願った。 夢うつつ title mm. |