短編格納庫 | ナノ

かまって系男子エース

ごろりとベッドに寝そべって雑誌を読んでいれば、それを待ち構えていたようにエースが私と並ぶように横になって、目を合わせた。この目は絶対に嫌らしいことを考えている目に違いない。ああ、せっかく寛いでいたのに。そんなことをぼんやり考えながらページを一枚めくった。すると彼の手が肩に触り、色っぽい手つきで私のキャミソールの紐を下ろした。

「ねぇ、」
「何だよ?」
「止めて」

怒ったようにそう言えば、彼は不満そうに顔を歪めた。この顔は怒った顔だ。自分の思い通りにならないと直ぐにその表情をするのだ。まるで我が儘を聞いて貰えなくて怒っている子供みたいだ。

「構ってくれねえからつまらねえ。」
「今は忙しーの」
「冷てぇなあ。」

それでもあきらめることなぐちょっかいを加えてきた。そして最終的には私の肩に顎を乗せて散々擽った。擽ったくて思わずばさりと床に雑誌を落とした。だがエースは擽るのを止めることなく、どんどんエスカレートさせた。

「やめてよっ」
「いやだ。」

逃れようと必死に身体をくねらせてベッドから脱出を試みたが、ダメだった。それどころか、エースが私に馬乗りしているような状態になってしまい、現状は悪化するばかりだった。急に恥ずかしくなって視線を反らすと、彼はしてやったという具合の表情で笑った。

「お、降りてよ。」
「何だ、照れてるのか?」
「違うもん」
「可愛いなあ、そういわれると余計に苛めたくなる。」

そう言ってさらりと私の髪の毛を触ると、耳朶にキスを落とした。擽ったくて肩を竦めるとエースはくつりくつりと喉を鳴らした。これから彼が何をしようとしているかだいたい予想がついて、深く溜め息を吐くことしか出来なかった。



優しくなじられた耳



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