仮定:冗談歴の更新中
「おはようございますカタクリ様!好きです、付き合って下さい!」
「またその冗談か?」
そして、いつも同じ言葉を返されるのだ。
カタクリ様の秘書官として仕事をすることになったのは数ヶ月前。カタクリ様のことはずっと昔から好きで、憧れで、お話してみたいと願っていた。
でも、四皇の大幹部と一般人。身分が違いすぎて、一生お目通りすらできないと思っていた。
そんな折、カタクリ様の秘書官の求人が出た。募集は、1名。
こんなチャンスはない!!とその日に仕事を辞め、秘書官の勉強を死ぬ気で励み、試験に面接に潜り抜け、ついに!私はカタクリ様の秘書官という唯一無二の職業を勝ち取ったのだ!!
しかし、カタクリ様に会える、会える、会えるうう!!!と大フィーバーのテンションで初回挨拶で告白かまして、冗談と受け取られて、今に至る。
初回に言ったらそりゃ、冗談に思われるかもだけどさ?毎日言ってるのに、未だに冗談と取るってどういうことなの。
「違います!私はいつだって本気です!」
「冗談を言うことばかりに本気になるな」
今日使う書類を取り出しながら、私の告白の本気をアピールするも、全然気にも止められない。
「カタクリファンクラブにも入ってます!今は非公式ですけど!」
「非公式って時点で冗談だろ」
「うっ!そこは冗談じゃないとは言い切れませんが……!」
だって、フランペ様入れてくれないんだもん!私が秘書官になったら、脱会させられたんだもん!!
でもメンバーじゃなくても、気持ちはいつだってカタクリさんへの愛で溢れていますとも!
書類をまとめてカタクリ様の机に置き、私の席に座る。よし、今日も頑張るぞ!と気合いを入れていたら、はぁ、とため息をつかれた。
カタクリ様がため息だなんて珍しい。カタクリ様の方を向こうとしたら、名前、と呼ばれた。
「冗談ばかり言っていると、本気で好いた奴に言った時に信じてもらえなくなるぞ」
……今まさに、信じてもらえてないんですけど!!
心配そうな視線を向けられ、あ"ーっ!と叫んで机に額をぶつけようとし……って、あれ?
先程の会話を思い出して、固まる。
……さっき、名前呼ばれたぁ〜……!それに、カタクリ様が私の心配してくれてるんだよね!?
それだけで今日一日、書類の百枚や千枚くらいなんとか処理できそうな気がしてくる!
やっぱカタクリ様好き!明日もこの愛を伝えたい!
嬉しさで溶け落ちそうになった頬を抑えて、うぇへへへ、と変な笑い声が漏れた。