繋がる心(SIDE-Luke)

紅の微笑みの、ルーク側のお話しです。



暗めですので、閲覧はご注意下さい。












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Side―Asch



ルーク…、いや、今はもうルルと言う存在は俺にとって、無くてはならない。




攫われた妹は…どんな恐怖に怯えて苦しんでいたのだろう…。



10年と言う、永遠とも思える長い時間を…。















Side―Luke







「…超振動を単独で発動出来る存在の一人…か」




「…はい。完全に制御を出来る兄の方は、残念ながら連れ出す事が出来ず…」





「だが、これも類を見ない存在だ。その単独で発動出来る超振動の力を、軍事転用出来れば…」







研究者達の抑えきれない好奇心は、禁忌へと繋がって行った。






幼いルークは、薬で眠らされ、両手両足を拘束されていた。






目を覚ますと、そこは薄暗くて見知らぬ場所。




恐怖心が募り、怯えながら見覚えのある顔を探した。








「…う…、ここ…どこ…?ははうえ…?ちちうえ…あにうえ…。ふぇぇん、こわいよぅぅぅ…」





あまりの恐怖に、ルークは泣き出していた。







「…目を覚ましたか」




研究者に声を掛けられたルークは、懇願する。





「誰?ここはどこ?わたしをおうちに帰して…!!母上に会いたいの…。父上も兄上も待ってるの…」






だが、ルークの言葉は届かなかった。







「お前の力…、単独で発動出来る超振動を研究し、形になるまでは帰せない」




「…ちょう……しん…どう…」







囚われとなった小さなルークは、大人達に従うしか生きる道が無かった。















来る日も来る日も、研究と称する過酷な実験は、ルークに深い心の傷を付けて行く。





無理に超振動を使わされ、挙げ句の果てには、解析データが取れない憤りを向けられる。





それほどまでに難しい力を、不完全ながら持つ幼いルークは、研究の痛みと苦しみに耐え、ただひたすら助けを願い、祈り、信じ続けた。





みんなが待っている、屋敷に帰れる日の事を…。

















…だが、そんな希望は徐々に打ち砕かれていった…。








薬を投与され、意識が混濁する中、強要される超振動。





血が逆流しそうなほど鳥肌が立ち、胃の中が荒れ狂っていくような感覚。





目が回り、頭は痛み、吐き気を催し、毒が身体を徐々に蝕んで行く。







心は現実から目を背き、やがて…自分と言う存在を幼い心は掻き消して行く。












(……ルー……)





もう、温かい手の感覚や、懐かしい声すら、思い出せない。





幸せだったはずの夢の中でも、恐怖が襲いかかり縛り付けて行った。
















人体実験で、ルークの心は砕け、自分の名すら過去と共に閉じ込めてしまった。




半分は失ったものの、それでも留まり続けたのは、夢で呼ぶ誰かの声が微かに残っていたからだ…。








「ルー…」






その名前と、夢の中の存在が呼び続けている事を、ルークは必死で頭に刷り込み続けた。


















やがて、空っぽになってしまった記憶は、すり替わりながら新たに生まれて行く。






(…俺は…誰なんだろう…)







『……ルー………』






「…ルー…って、誰だっけ…?」






夢の中では、何度も大切な人に呼ばれた事が嬉しかった記憶が蘇る。






誰かは思い出せないが、とても…懐かしい……。










「…ルル、そっか…俺の名前だったな…」









そして。









今日も恐怖の研究が始まった……。








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ルークの過去に触れてみました。



ルークは自分を忘れようとしたものの、アッシュが呼び続けていた事を、半分だけ覚えていたのです。





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