▼ こども(カシアリ)
後ろから抱きしめて、お腹に腕を回す。ぎゅうっと力を込めれば、筋肉のかたさが伝わりアリババは背中に隠れて、むっと唇を尖らせた。
「…おい、いい加減離せ」
「もう少し…」
「ったく」
寝台の上に男が2人。
胡座をかくカシムの後ろをとり、アリババは抱き付く。膝の上に顎肘をつきながら、カシムは煙草を燻らせた。
「男の腹なんざ触って、楽しいか」
「楽しくはないけど」
「ああ!?」
なんとなしに疑問を投げかければ、元も子もない返事をされ肩口にアリババを睨む。
「い、いやその…カシムって太らないからさぁ」
羨ましい…と零しながら、手のひらで服の上から腹筋を撫でる。
「女かお前は」
「ぐっ…もともとモテるカシムには分かんねーよ!」
「何ムキになってんだアホ」
呆れたといった表情で溜め息をつけば、お腹に回された腕がさらに締めてくる。
「お、い…離せバカ」
「さっきからアホとかバカとか言い過ぎだ」
「んなの事実なんだから受け入れろ、よ!」
「うひゃあ!?」
大人しくしていることに飽きたと、カシムは強引に体を捩ってアリババの脇腹を摘んだ。
「ちょ、ァ、く、くすぐった…」
「まあ…体質だろ?」
「ふ…あ、ちょっと待…っ!」
勢いで押し倒して、お返しだと腹回りを触れば、それがくすぐったいのかアリババの足がシーツを蹴る。
「あははっ…ん、ちょ、いい加減、ゃ…やめろって、ば!」
「………」
「は、ぁ!カシ…ムッ」
「………なんつーか」
「…?」
アリババの上に跨がり彼を見下ろしながら、言葉を1つ。
「このまま抱くぞ」
「は!?いや、あの…カシ、」
「そもそも俺に抱き付いて、んな声出すアリババが悪い」
待てだとか、責任転嫁だとか文句を言う口を塞いで、乱れた服の下に手を忍ばす。
艶を帯びた吐息が零れて、カシムは口元の笑みを深めた。
こどもが、ふたり
(な…なんでこんなコトに…)
(別にいいじゃねーか、気持ち良かったろ?)
(カ、カシム!)
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Happy Birthday このえさん!
お誕生日のお祝いに書かせていただいた、カシアリのお話です
愛はたっぷりこもってますので!←
この度はおめでとうございました*