- ナノ -




この世界は、ポケモンを中心に回っていると言っても過言ではない。そりゃそうだ。ポケモンは自然の権化。本気を出したら人間などひとたまりもないのだ。ポケモンを無闇に敵に回すのは、この世界では死を意味するのだ。
反面、そんなポケモンが味方になってくれるということは、自然の恩恵を受けられるということだ。しかもポケモンは賢く、ある程度ならコミュニケーションを取れるため、心強いことこの上ない。要するに、この世界で最も近しい味方と言える存在、手持ちポケモンだ。

というわけで、今回は、トレーニング中の風景から、私の手持ちポケモンを紹介していこうと思う。


『貫け!』
雄叫びとともに放たれた冷凍ビームが、寸分の狂いもなく的の中心を撃ち抜いた。
「上々ね、流花」
『あったりまえだよー!』
今冷凍ビームを放ったのが、シャワーズの流花。おしゃれが大好きな女の子だ。どちらかというとコンテスト向けな性格な様で、カロスにコンテストはないにも関わらず、 シンオウやホウエンのコンテスト番組を見てはコンテストに出たいとせがむ。おかげで私はホウエン旅行を計画する羽目になったが、基本的にはおしゃべりが好きな明るいいい子だ。

『はあっ!!』
飛び膝蹴りが、サンドバッグに命中する。
「紫!いいよー!」
『当然の結果じゃ。』
飛び膝蹴りを放ったのは、コジョンドの紫(ゆかり)だ。高飛車な女王様タイプだが、強さへの探究心は人一倍の努力家だ。また、どこから情報を仕入れてくるのか、やたら博識だ。こないだなんか、父さんの書斎で読書をしていてびっくりした。格闘タイプとは一体。

「八千代さん、武、頑張って!」
『覚悟はいいかい!?』
『負ける気はしないな!』
カイリューの八千代さんとムーランドの武は模擬バトルをしていて、竜の波動やら破壊光線やらギガインパクトやらの応酬が続いている。
まず、カイリューの八千代さんは、私より長く生きている。さっぱりした性格で面倒見のいい、まさに姉御肌だ。だから私は、彼女を年上の先輩として扱っている。彼女はバトルでも勇ましく、ヤワなポケモンなら一撃で伸してしまうのだ。
続いて、ムーランドの武。彼は真面目な性格で、私の言うこともよく聞いてくれる。ちょっと融通が利かないところもあるが、常に私のことを考えてくれるいい子である。

『本気で、行くね…』
サイコキネシスが、ダンベルを高々と持ち上げた。
「飛ばし過ぎたらダメよ、ジャック」
このサイコキネシスの主は、パンプジンのジャックだ。
無口だが素直な性格で、性格的には一番手のかからない良くできた子だ。また、特性がものひろいであるため、旅をしていた時はかなり助かったものだ。ちなみにサイズは中だ。

『オラァ!』
ラスターカノンが、動く的を片っ端から破壊していく。
「いいわよ、フォルテ」
最後に紹介するのは、私のパートナーである、色違いクレッフィのフォルテだ。
彼は、元気いっぱいなやんちゃ坊主だが、同時に、私を真に理解できる唯一のポケモンだ。また、一番の古株として、トリップしたばかりの私を支えてくれた恩人(?)でもある。


こんな癖の強いやつらばかりだが、私はみんなのことが大好きだし、みんなも私によく懐いてくれている。私の可愛い仲間達だ。

「あの、すごい強そうなポケモンお持ちですね。良かったらバトルしませんか?」

おっと、練習風景に惹かれたトレーナーが声をかけてくれた。
トレーナーの声に振り向いた仲間達は、ニヤリと好戦的な笑顔を浮かべる。

そう、私の仲間達は、バトルだってなかなかの腕前なのだ。


「いきましょ、みんな!」



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