- ナノ -
prologue
彼が気になって仕方ない。
彼の名前は、橘真琴君。私のクラスメート。
いつも大柄な体をおろおろと揺らしながら、親友の七瀬遥君の面倒ばかり見ているのだが、かっこいいし優しい。
だから、たくさんの人が橘君の事を好いている。
七瀬君だっていつも隣にいるし、彼を狙う女の子だって多い。私もその一人。
だけど私は、特になんの取り柄もない、普通の女子高生でしかない。
だから、私なんか、見向きもされない。
そう、思ってた。
[
prev
] [next]