- ナノ -




「ヴィー、起きる時間ですよ」

かあさまのやさしいこえがきこえる。それと、すずめのなきごえがする。
わたしがめをあけると、めのまえに、あさのひかりにてらされるかあさまのかおがあった。
「おはようございます、かあさま」
「おはようございます、シルヴィア」
わたしがあいさつすると、かあさまはにっこりわらってあいさつしてくれた。
わたしはおきてベッドからおりる。
「着替えたら降りてきなさい。」
かあさまはそういうと、へやからでていった。ことしから、きがえはじぶんでやると、とうさまとかあさまとやくそくしたから、わたしはハンガーにかかったようちえんのせいふくをてにとって、パジャマをぬいだ。

かいだんをおりていくと、あさごはんのいいにおいがしてきた。リビングにはいると、かあさまはてきぱきとあさごはんのじゅんびをしているし、とうさまはせきについている。めずらしくスーツをきている。とうさまのむかいのせきが、わたしのせきだ。
「とうさま、おはようございます」
「おー、シルヴィア。おはよう」
「シルヴィア、朝ご飯早く食べてしまいなさい」
「はい、いただきます」
かあさまのしじで、わたしはトーストにかじりつく。きょうもおいしい。
ひとくちめのトーストをのみこみ、とうさまにきいた。
「とうさま、どうしてきょうはスーツきてるんですか?」
とうさまはスーツがきらいだという。うごきにくいんですって。
「あー、今日、魔王様が大事な会議に出るんだ。俺は護衛で着いて行くから、スーツ着ろって言われたんだよ」
まおうさまは、とうさまとかあさまの「じょうし」で、わたしもよくあそんでもらっている。
「今度は無事に済むといいですね…またスーツを駄目にされたらたまったものではありませんから」
「俺よりスーツの心配かよ?!」
かあさまがとうさまをじっとりとにらむ。このあいだ、かいぎでけんかにまきこまれて、スーツをぼろぼろにしたのをおこっているのだ。

わたしたちかぞくは、「まぞく」だ。
このせかいには、「まぞく」と「にんげん」と「あじん」がいる。みんななかよくくらしているけど、なかには、それをよくおもわないひともいるという。かあさまが、かなしそうにはなしていた。
まおうさまは、まぞくのだいひょうだから、そういういじわるなひとにけんかをうられるという。とうさまは、そういうひとをやっつけてまおうさまをまもるおしごとをしている。かあさまも、まおうさまのしたでおしごとをしている。
なんでなかよくするのがわるいことなんだろう。
そんなことをかんがえながら、わたしはあさごはんをたべて、かおをあらった。

そうして、とうさまはひとあしさきにしごとにでかけていき、わたしはかあさまのうんてんするくるまでようちえんにいく。
それが、わたしのまいにちだ。



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