プロローグ ざらざらのアスファルトに転がった俺の身体は、もはや言う事を聞いてくれなかった。 ぴくりとも動かない身体を中心に、アスファルトは紅く染まっていく。 通行人の悲鳴や怒声が、遠くに聞こえる。 そう、俺は車に轢かれたのだ。 ちゃんと信号を守っていたのに、車の方が信号を無視しやがった。 ああ、妹を同じように信号無視のトラックとの事故で亡くして悲嘆に暮れて、ようやく心の整理をつけて、妹の分まで力強く生きようと決めた矢先に、まさか自分も同じ目に遭うなんて。 世の中、何があるかわからないものだ。 多分、俺はもう助からない。 自分のことは自分が一番分かるのだ。 もう、家族や友達にも会えない。 恋だってしたかった。 もう、全てが終わる。 ああ、もっと生きたかったなあ…。 そんな願いも虚しく、視界が暗転した。[ 3/4 ]← →
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