その1 ―――面白みのなかった人生が、さらにつまらなくなった気がする。 私の名前はサラ。まあこの名前は、この世界に来てからの名前だが。 この世界、というが、実は私は記憶を持ったまま転生している。 前世ではごく普通の、いや少しオタクな女子高生だったのだが、ある日信号無視のトラックに轢かれてぽっくり。 しかし、ふと目を覚ますと私は薄暗い冥府の底にいて、自分の体は幼い少女のものとなっていた。 見渡すと周りに綺麗な女の人たちが寄ってきて私を祝福したかと思うと、何もわからない私に説明をし始めた。 ここは冥府の底・タルタロスであり、自分たちはそこを流れるコキュートス川のニンフであること。そして私は、新しく生まれた自分たちの仲間…コキュートス川のニンフであるということ。そしてニンフたちは、私に「サラ」と名付けた。 それから、どうやらギリシャ神話の世界に来たらしい私は、ニンフたちに育てられることとなった。 back |