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「スケッチ?」


昼休み、教室の一角で渚と怜の声が被った。視線の先には、怜に猛アタックを仕掛ける少女、なまえ。
「そうなの。私は美術部でしょ?部の課題でスケッチをすることになって、放課後に竜ヶ崎君を描かせてもらいたいの」
「僕ですか?何で?」
怜が首を傾げる。
「どうせなら、好きな子を書きたいじゃない」
「はいはい、わかりました。いいですよ」
告白を軽くあしらって、しかし怜は頷く。
「本当?」
「部活なら断るに断れませんしね。今回だけですよ。」
「じゃあ、まこちゃんには僕から伝えとくね!」
渚が笑って言う。こうして、怜はスケッチのモデルになったのだった。




放課後。
夕日に染まる美術室に、なまえと怜はいた。怜は椅子に掛けていて、なまえは必死にスケッチブックに何か書き込んでいる。
怜は、正直ドキドキしていた。スケッチのモデルというのもそうだが、いつも不敵な笑みを浮かべているなまえの真剣な表情を初めて見たのだ。なまえは元がいいので、真剣な表情も映える。怜はいたたまれなくなって声をかけた。
「みょうじさん、」
「まだ動いちゃダメよ」
スケッチブックから目を離さずになまえが言うものだから、また怜は動けなくなってしまう。怜は、水泳部の誰かが様子を見に来てくれないかと祈った。さもないと、この嫌な沈黙の中で、このドキドキについて考えてしまいそうなのだ。
しかし、結局誰も来ないまま、30分間怜はドキドキしっ放しだった。

「お疲れ様、ありがとうね」
ようやく姿勢を崩す許可が降り、怜はホッと息を吐いた。なまえもいつの間にか不敵な笑みが戻っていて、怜は安心した。すると、なまえがスケッチブックを見せてきた。
「どう?」
「わあ…」
思わず怜は感嘆の声を上げた。そこには、まるで鏡を見ているような写実的な怜が描かれていたのだ。これには感心せざるを得ない。
「上手ですね」
「ありがとう」
と、なまえが頬を赤らめて無邪気に笑った。
その仕草に、また怜の胸は高鳴った。
「じゃあね。ありがとう、竜ヶ崎君」
しかしなまえはそれに気づかず、怜に挨拶をして美術室を出て行ってしまったのだった。

「なんだったんだ!理解できない!なんで僕があんな人に!」
結局怜は、このときめきについて思案し、一時間を無駄にすることになったのだった。








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