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悪夢


大きな十字の石。紅いシャボン。
わたしはそこに立っていた。

夢だということはなんとなくどこかで気づいていたのに空気や聴こえる音もリアルで、なにより脚が動かない。

ゆっくりと巻き戻される世界。持ち上がる十字。紅いシャボンは後退する。その先、嫌な予感。見たくない、見ちゃいけないと思いながらもわたしの体は思うように動いてはくれなかった。そして見てしまった。血に塗れたあの人を。

それからはありえないくらい速かった。時間はどんどん巻き戻る。
情報量が多くてついていけない。
ただ一つだけ聞き取れたのは綺麗な女の人の名前。

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