ぼくクダリ。今ノボリといっしょに残業中。残業って嫌い、だって眠いし面倒くさいし何よりノボリに構ってもらえない。 でももうちょっと、もうちょっとできっと、 「クダリ、休憩にしましょうか」 ほらきた。いつもこの時間になったらノボリはコップ片手に言うんだ。ノボリはいつも真っ黒なコーヒーを入れる。苦そうなものをノボリは平気で飲んでる。変なの、なんて考えてると、あぁ、と思い出したように「貴方はココアでしたね」とノボリが言う。コップを受け取って、白いシャンデラの炎みたいにゆらゆら揺れる湯気が鼻を湿らせた。 ノボリがいれるココア大好き!だってとっても甘くて美味しいんだ!え?ココアは甘いものって?でもノボリがいれるココアは何だか違うんだ。なんかこう、 「ぽかぽかする!」 「…そりゃあ、ココアですから」 「ぼくココアないと生きていけない。もちろん、ノボリのいれたココアじゃないとダメ」 「…ココアだけですか」 「ううん、ココアよりもノボリがいないと生きていけない!」 「…そうですか」 「ノボリ顔あかい!」 「かっからかうのはやめてくださいまし!大体貴方が…!」 嬉しい。ノボリが笑ってる。ノボリが笑うとぼくも嬉しい。 「ノボリ、ぼくね、ノボリが好き。」 「……」 「ノボリが笑うと嬉しい。ノボリが泣くと悲しい。」 「…ちょっ、クダ、どうして貴方が泣いてるんです!」 わからないよ。何で泣いてるのかなんて。何で笑ってるのかも。 「ノボリ、ノボリっ…」 「あぁクダリ、泣かないでくださいまし。貴方に泣かれると、わたくしどうしたらいいのか…」 ノボリの黒いコートが揺れてぼくを包み込む。暖かい。ノボリの匂いがする。 煙草の匂い。ぼくの前で吸わないの知ってる。 「クダリ、泣き止んでくださいまし。…貴方が泣くとわたくしも悲しゅうございます」 「…ノボリ、悲しい?」 「…はい、だから泣き止んでくださいまし」 「ん、」 ノボリはぼくの目尻にちゅ、とキスしてくれた。 ひどく暖かくて優しかった。それが何だか嬉しくて笑ったら、ノボリも笑ってくれた。 『ミルキーウェイの残像』 こんな感じで書いていきます にしてもこれはひどい。 題名『空想アリア』様より |