ライモンシティの早朝―――。 早朝と言えど、まだまだ人々が眠りについている時間帯。 サブウェイマスターの二人は、太陽が赫赫と出ぬ内に仕事場に行かなければならないのだが、今日は違っていた。 「クダリ!早く起きてくださいまし!」 「ん〜寒い…」 「シャンデラ鬼b…「わかったから!」 今日は遅刻日になりそうだと考えながらコーヒーをいれる。クダリが寝坊かと思いきや、ノボリも珍しく寝坊をしどちらも寝過ごしたのだった。 いくら起床時間が早いからとはいえ余裕はない。ギアステーションに着いたとしても、避難具や電気、回線の異常などを確認してからやっとサブウェイマスターの仕事が始まる。 (あぁ、もう朝礼の時間ですね…) 間に合いそうにないからと言ってゆっくり過ごせる筈もなく、慌ただしく準備は続く。 「クダリ、モンスターボールは入れましたか」 「ノボリどうしようバチュルが居ない!」 「なんですってこんな時に!」 「ノボリィ!ネクタイ結んで!」 「何で二十代後半の男がネクタイ結べないんですか!」 と言いつつもネクタイを結ぶノボリにご満悦そうなクダリ。 「…ふふ」 「あっノボリ笑った!」 「…笑ってませんよ」 「笑った笑った!ねぇ何で何で!?」 丸い瞳を爛々と輝かせるクダリ。それを見て観念したのかノボリは、少し照れ臭そうに帽子を深く被った。 「…ただ、まるで新婚みたいだと、思っただけです」 「………新…こ、ん」 「はい、」 「ぼくたち新婚?」 「…だったら良いですが…わたくしは今のクダリが好きにございます」 ふわりと笑ってみせた彼に、クダリはまた明るい笑みを浮かべ、まだコートも羽織っていない白い彼に飛び込んだ。 その後鉄道員にこっぴどく言われたのは言うまでもない。 『ジプシー・ジプシー』 なんだこれは あとバチュルごめん |