君と私の物語 | ナノ



私の新しい日課は早朝に携帯電話のアラームで起床するとこから始まります。それからスーパーマーケットで購入した半額の食べ物と冷蔵庫に入ってる飲み物が定番の朝食。ここまでは多分前から変わらないと思う。それからクローゼットを開けて、今日の服装を決めて、念のため爆睡なデイダラから見えないであろう死角で着替える。着替えた後に安っぽいソファーで寝ているデイダラを起こす。デイダラは低血圧だから、起こすのはいつも一苦労。最終手段は勿論体を力強く叩くこと。そんなこんなで、とりあえず学校が朝からある日は早く出ていき、なかったらゆっくりする。そんな感じに、私の日課は始まるのです。

…………始まる?




「優月、朝だぞ!」

アラーム音に負けないくらいうるさい声に一気に覚醒して目を開けて、勢いよく上体を起こす。自然に携帯電話のサブディスプレイを見ると、いつも起きる時間より二時間オーバー。え、これって夢だよね?現実じゃないよね?


「あ、これ、遅刻?ていうか、今日学校って…」

「多分遅刻、うん。昨日、今日は学校朝からあるって言ってただろーが」

横を一瞥すると、そこにはデイダラが食パンをむしゃむしゃと食べながら、此方を見下ろしていた。デイダラが私より早く起きるなんて、奇跡に近い。あ、やっぱりこれ夢なのかも。けれど、ハニートスートの匂いがふわりと漂ってくれば、明らかに夢じゃないって分かる。


「………あー、単位!」
「朝食ならそこにあるぜ」
「デイダラ、起こしてくれてもよかったのに!」
「何度も起こした、うん。術使えたら爆発させようかと思ったくらいだ」
「服、服…」

鏡の前に立てば、髪は想像を絶するほど酷い。あー、もう行く気なくなってきた。化粧もしていなく、朝食もまだ食べてない、準備全くしていない。なんて一日の始まりなんだろう。最悪だ。鏡の前で硬直していると、背後にデイダラが。


「顔死んでますけど、うん」
「そうですよ、デイダラくん。だって完全に寝坊だからね」
「とりあえず髪は整えて行けよ。朝食のパンは歩きながら食ってけ、うん」
「あの化粧もあるんだ、女の子だからさ」
「化粧しなくてもそんな変わんねーよ」
「…………」

そうだね。うん、そうだよね!どうせ好きな人会うわこもなく、寧ろいないわけで、会うのはいつもの友達だから別にいいのか。とりあえずベースメイクだけしていこう。そうしよう、うん。あ、口癖うつっちゃった。
それから電光石火で準備をして、鞄を持ってから、パンプスを履いた。珍しくデイダラが玄関まで見送ってくれている。

「これ、パン」
「ありがとう。あ、戸棚にカップラーメン入ってるからね。冷蔵庫にも適当に入ってるから」
「おう」

「じゃあ、いってきまーす」





私と君の日課は慌ただしくも、けれどそこには楽しさや穏やかなものが確かに在った。