decalcomanie | ナノ

求めた新世界は極小です



あぁ、今日もか。

私は窓際の自分の席に着いて、頬杖を付きながら窓から望める景色を瞳に写していた。校舎には、ほぼ占めている地の色よりも目立つ黄と赤と黒と銀。その周りを囲むように、女子生徒の制服の紺色が固まって群がっている。

「あらら、今日もすごいねー」

それを見てか、感嘆の言葉を洩らす友達。目の前の現在空席である席に座り、あたし同様に外を眺めた。

「朝から帰りまでずっとだよ」

そうポツリと呟けば、友人は納得し、其処をボーッと客観的に観劇する。
教室はまだ朝のHRが始まるまでに時間があるのか、騒々しいくらいに友達とお喋りをしたり、カップルが周りを気にせずイチャイチャしたり、会話をする程度だったり。その中でも一人で熱心に読書をしていたり(例えば、サイ君)早速居眠りをしてるシカマル君とか、はたまたは二学年の“彼等”にも劣らないくらいの人気を誇る同学年のサスケ君のファンの黄色い声(主にサクラやイノ)とか、先生に朝から叱られている悪戯っ子ナルト、朝からお菓子を頬張るチョウジ君とかとか。
マンモス校であるこの学校はそのくらい十人十色な人が沢山いて個性的だ(すぎる、とも言うけど)


「うちも、あの中に混ざってこよっかなー」
「…え、本気?」

友人の急な発言に幾度か瞬きを繰り返してしまう。そんな私の反応に、友人はだってさ、と綴る。

「そうじゃなきゃ大好きだって伝わらないし、学年が違うんだから彼等に近付けないでしょ?」
「私達は地味に生きてるからね」
「それは、あんただけでしょ!」

答えになってないことを口走りながら苦笑する私に、友人は不満げに此方を見据えた。

「あんなにかっこいいのに少しも惹かれないの?」
「………」

友人の質問に、私は答えを見つけ出すことは出来なかった。いや、多分恐れているのだ。
この学校に入学して早六ヶ月。長い夏休みもあっという間に何事もなく過ぎ去っていった。もし惹かれていると言ってしまえば、平凡な日常ががらがらと崩れさっていきそうで、仕舞いにはあの熱狂的なファンの一員になってしまうのだ。つまり、私は何より穏やかで平凡な学校生活を望んでいる。だから、彼等を好きになることはきっと今もこれからもないだろう。
窓から見える黄と赤と黒と銀。それは“彼等”の頭髪の色彩。このマンモス校でも名が知れ渡っていて、女子が虜にされるくらいな容姿を持っていて。他にも彼等と同じレベルの男子はちらほらいるが、何故か彼等は一際目立っている。どうやら“暁”と云うグループの一員らしい。そして、あたしよりも一つ上である学年の彼等は仲が良いのかは解らないが、特にこの四人でつるんでいるのをよく見かける。友人とそれからもお喋りをして、数分後。始まりを告げようとする鐘が煩く響き渡った。