『人』という字が嫌いだ。
よく「人という字は支え合って、云々」なんていわれるのが理由の一つにはあると思う。
僕は『人』が『一』という字だったらどんなにいいことか、と漠然と考える。
支えもなく、一本の直線で成り立つ言葉。それは僕によく似ているのではないだろうか。

一、イチ、人、ヒト。

オンリーワンなんてフレーズの入った歌が流行ったこともあった。
それはもう凄まじい勢いで、町中、テレビ、どこでなにをやっても耳についた。メディアはくどいくらいにはやし立てた。
僕はその言葉自体、嫌いではない。
しかし、一般、大多数に口ずさまれるオンリーワンは虫酸が走る。
個性という言葉を盾にして、自らの欠如を認めてしまう進化のないものに成り下がっている風に思えるからだ。

ーでは完結できない人。人間。

そういう意味で、僕はとても人間的ではない。
僕は僕を人間だと思いたくないし、認めたくない。

群れの中に入るくらいなら。
あんな群れの中に入るくらいなら。
僕は一人で、人生ではなく一生を送ろうと思うのだ。


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