「競泳? スク水?」
『スク水。特に旧型だね。水はきをよくするあのスカートの部分は可愛いし、めくることに意義がある』
「全文同意っす。では、スクール水着のゼッケンは必要か否か」
『不必要だ。ゼッケンの存在はあまりにもオタクすぎる』
「そこは同意しかねますな。どでかい文字で主張した名前こそが至高。名前、年、組を主張されているからこそ、コスプレという枠を出ていて、実用的な存在であるという生々しさを再認識させるのでは」
『なるほどね……一理ある』
「色はどうしましょう? 紺か黒か白か。私としてはキャラからいえば黒かなとも思いますが、あえて白で透け感を追求するのもどうかと」
『実用的な存在や生々しさを追求するなら白はないだろう。特に透け感。確かに魅力的なものではあるけども……そうだな、スタンダードな紺もいいかもしれないが、ここは一捻りしてキャラクター性を出そう。黒』
「オーライ。眼鏡とソックスなんかは……」
『遥ちゃん、さっきから矛盾しまくりだよ。それをつけるなら白スクにしてもいいんじゃないか?』
「ならいっそ、リアリティを抜きにしてコスプレとしての」
『それも悪くないけれど』
生徒会室のドアが開いた。めだかちゃんの後ろに善吉。私と球磨川先輩は、机で対面。
「お邪魔してます」
まっさきに挨拶をすることで逃げる準備をする私。
「おい、今、なにを話していた?」
善吉が非常に疑わしい目で私たちを睨みつける。
『嫌だなあ。僕らだっていつも悪巧みをしているわけじゃないよ! 今日は生徒会の職務の相談役として遥ちゃんに来てもらっていたんだ』
「そうそう。私はスペシャルゲストなんだよ。労わってよ」
それでもまだ訝しがる善吉。怪しいと言わんばかりだ。
めだかちゃんがパッと扇子を開いた。
「そうか。ご苦労であったな。で、して、何の活動を?」
意図せず、私と球磨川先輩の言葉が重なった。
「『めだかちゃんの次の衣装のプロデュース』」