長かったような短かったような一年が終わりかけている春。
今はもう春休みで今日はみんなでお花見をする予定で準備をしていたのだが…。
〜♪〜♪
「もしもし?」
携帯が鳴っていることに気づき、出てみると着信主は…。
「やぁ、杏。今日は風紀委員があるから並盛公園に今すぐ集合ね」
「え、は…?」
反論する暇もなく用件だけ言われて切られる電話。
今の電話は間違いなく雲雀さんだ。 そういえばつい先日連絡先を交換したんだった。
と言うより今の電話、並盛公園に今すぐって…。
「私、みんなとお花見出来ないじゃん!
うわー…ごめん、みんな!雲雀さんに呼び出されちゃった…」
「な…!杏を呼び出すなんてポイズンクッキングを喰らわせてやるわ!」
「いやいやビアンキ、そんなことしなくて良いからね! ごめん、それじゃあ行ってくる!」
ビアンキの殺意を抑え、今家にいる人へ謝って家を出て私は急いで並盛公園に向かった。
あれ、そういえばツナや隼人や武も並盛公園でお花見の場所取りをしているような…。
ま、いっか。 とにかく急がなきゃ!
そして急ぎ足で向かった並盛公園には腕を組み、木にもたれている雲雀さんがいた。
「遅い」
私の姿に気づいた雲雀さんはちょっとだけ不機嫌そうに言う。
「ご、ごめんなさい…。でも仕事があるならもっと早めに言って下さいよ! 今朝大変だったんですからね!」
「そう」
私の言い分も気にせず興味なさそうに答える雲雀さん。
…彼はこういう人だと、何だかもう慣れてしまったような気がした。
「ところで今日は何の仕事何ですか?」
とりあえず今日の仕事内容も何も聞いていない私は聞いてみた。
するとーーー…
「…花見だよ」
「……え?」
雲雀さんの答えは予想外のものだった。
「お花見って…桜を見るお花見ですか?」
「それ以外に何があるのさ。杏って馬鹿?」
「馬鹿ってそんなひどい…」
お花見が何なのかだなんて分かっている。
私が聞きたいのはそのお花見が風紀委員の仕事なのかどうかだ。
それを聞いても雲雀さんは「仕事だよ」と言うので気にしないことにした。
まぁもともとお花見する予定だったしいっか…なんて思って辺りの桜を見渡していると、ある三人組が目に入った。
「あれっ、ツナ達だ」
その三人組とは今朝場所取りのために早く家を出て行ったツナ、隼人、武だ。 そうだ、もともとは並盛公園でお花見をするつもりだったツナ達と鉢合うのは当然だ。
だけど彼らは風紀委員の一人と争っている。
「(みんな何してんの!早く止めなきゃ!)」
そう思いみんなのいるところに駆け寄ろうとした、が…。
「杏はここにいて」
「え…」
雲雀さんに止められてしまった。
そして雲雀さんはあっという間にツナ達のところへ向かって行き、なんと同じ風紀委員の人をトンファーで殴ったのだ。
「な…!」
雲雀さんにはここにいろと言われたが、こんな光景を見せられてはここで黙っているわけにはいかない。
「雲雀さん!何してるんですか!」
雲雀さんの行動を止めるため、走って行ったその時。
「杏ちゅあ〜ん!こんなところで会えるなんて嬉しいな〜」
「ぎゃあああ!」
どこからか出て来たシャマル先生に捕まってしまった。
酒の瓶を片手に持ち、顔は相当赤いためかなり酔っているのだろう。
私の悲鳴に雲雀さんはもちろん、ツナ達も私の存在に気づいたようだ。
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