日常編 | ナノ



「ディーノ、それってどういう意味……」



そう言い終わったと同時に聞こえてきたのは家の扉が開閉した音。
誰か来たのだろうか。

しかしその足音は階段を上って私達がいるツナの部屋の前で止まる。



「おい、ディーノ…いるのか?」



聞こえてきたのは男の人の声。
何だろう、何だか懐かしい感じ。

そしてディーノから発せられた名前に私は目を見開いた。




「ああ。入ってこいよ、




流」


「…!」




入ってきたのは黒髪の人、"流"。

忘れるわけがない、だってこの人は…!



「久しぶりだな、杏」

「…お兄ちゃんっ!」



私のお兄ちゃんなのだから。

最後に会ったのは何年前だろう、それほど久しぶりなのだ。

部屋にいた私は入口に立っているお兄ちゃんに抱きついていた。
ディーノの時より力強く。



「うおっ…抱きつくな!」



お兄ちゃんにそう言われたが、私は離れることなく胸にうずくまった。

嬉しい気持ちと色々な気持ちが混ざって出てきた涙を隠すように。



「お兄ちゃん…!」

「…!」



それがバレてしまったのかは分からないが私の頭を優しく撫でてくれた。



「なぁ、リボーン…あの人って杏のお兄さん…?」

「あぁ、そうだぞ。
柚木流…キャバッローネファミリーでディーノの部下だが正真正銘杏の兄だ」

「そうなんだ…」



ツナは色々と気になる事があったのだが、今は聞けるような雰囲気ではないことを察した。



「…ディーノ、流。今日は泊まってけ」

「ん、よっしゃ。んじゃー流と杏と再会祝いとボンゴレ10代目に説教でもたれるか」



ディーノはそう言ってリボーンの提案に乗り、今日はディーノと流が泊まっていくことになった。








「いただきます」

「はい、どーぞ」



夕食の時間になり、みんなでご飯を食べる。

感動の再会(?)も終わって今はみんな落ち着いていた。



「そーいやツナ、お前ファミリーは出来たのか?」

「今んとこ獄寺と山本、あと候補がヒバリと笹川了平と…もちろん杏もだぞ」

「友達と先輩だから!!」



ディーノの質問にこたえたリボーン。
そんなリボーンに素早くツッコむツナ。

ツナとリボーンのやりとりって面白いんだよね。



「杏はボンゴレ決定なのか…?」



そんな中一人お兄ちゃんは少し表情が険しくなりながら私に聞いてきた。

もしかして心配してるのかなお兄ちゃん。
いやいやでも私はボンゴレファミリーとしてツナ達と一緒に頑張るから。



「うん!私、頑張るから心配はいらないからね!」

「…そっか」



その思いが届いたのかお兄ちゃんからの険しさはなくなっていた。

そしてまた黙々と食べていたのだけれど…



「ディーノ…ちょっとこぼしすぎじゃない?」

「うわっ!」



目の前に座っているディーノはご飯やらおかずやらをぼろぼろとこぼしていた。
それはもう尋常じゃ無いほどに。



「ディーノは部下がいねーと半人前だからな」

「えっ、ディーノって半人前のままなの!?」

「そうなんだよ。ちなみに何故か俺がいても半人前なんだよ、ディーノって」

「またリボーンはそういうことを…それに流も杏も…ツナが信じるだろ?
普段フォークとナイフだからハシがうまく使えねぇだけだよ。
半人前は卒業したからな!」



なんだ、そういう事なのか。

昔ディーノにお世話になった時は半人前って言われて有名だったからそのままなのかってビックリしてしまった。


そう思って納得する私とツナだったけどお兄ちゃんとリボーンは何故かシラケた目でディーノを見ていた。


だけどこの後本当にディーノは部下がいないと半人前、逆に言えば究極のボス体質だという事が分かってしまったのだ。



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