(乱太郎と兵太夫と伊作)


_試作のからくりの暴発に巻き込まれ顔を切った兵太夫はむすりとしながら乱太郎による手当てを受けていた。
「本当は乱太郎のいない時間を狙って来ようと思ったんだ。乱太郎に要らぬ手間を掛けたくなかったし、お小言を聞きたくなかったからね。でもそうすると乱太郎、僕に避けられているのかとか自分が何かしただろうかと落ち込むだろう。そしたら僕がきり丸や皆に怒られるし、だから仕方なく乱太郎に手当てしてもらうために来たんだよ」
_兵太夫は訊かれてもいない言い訳を流暢に語る。慣れた様子の乱太郎は「ハイハイわかってるよ」と軽く受け流し、消毒液の染み込んだ綿を兵太夫の顔に押し付けた。
「痛っ! 乱太郎、沁みるよ」
「沁みるお薬使っているからねー」
_楽しげに手当てする乱太郎に返す言葉がなくなり、兵太夫はむぅと黙り込んでようやく大人しく手当てを受けた。
_そんな後輩たちを第三者として眺め、伊作は微笑んだ。
_懐かしいなあ、と。


20120211

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