(兵太夫と仙蔵)


_仙蔵の伊作を眺める目を見て、ああこの先輩も同じなのだと兵太夫は悟った。
_保健委員が代々不運に取り憑かれているように、あるいは作法委員もまた似たような因習に縛られているのかもしれない。
_縁側で優雅にお茶を啜る二人の目の前で、トイレットペーパーを山のように抱えた伊作と乱太郎が、今まさに落とし穴に嵌った。
「和みますねえ立花先輩」
「そうだな兵太夫」
_落ちていく伊作と乱太郎の断末魔にも似た悲鳴に二人でうっとりと耳を澄ます。
_自分たちの仕掛けた罠からくりに誰かが上手くかかったのだから本来ならば満足であるはずなのに、しかし兵太夫は落とし穴を見つめて苦々しく呟いた。
「……保健委員のあの甘さは、毒ですね」
_その言葉に、仙蔵は隣に座る後輩を見下ろした。
_そして兵太夫が仙蔵の眼差しに共感を覚えたように仙蔵もまた兵太夫の横顔に自分と同じものを感じ取った。
_この子はつくづく作法委員であるなあと思い、兵太夫の言葉に仙蔵もまた苦々しく頷いた。
_それから落とし穴の中の二人を助け出すべく、仙蔵と兵太夫はようやく重い腰を上げた。


20120211

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