_庄左ヱ門と伊助が喧嘩をした。
見守るしかない同級生たちを余所に二人は激しい口論を繰り広げ、そして決裂。庄左ヱ門はさっと踵を返すと伊助の顔も見ずに毅然として教室を出た。
_その姿が見えなくなった途端伊助が涙ぐみ、「庄ちゃんの、ばか」と小さく呟いた。
_呆然と事の成り行きを見守っていたは組はそれを合図に我に返り、各々が動き出した。
_乱太郎としんべヱは庄左ヱ門を追って、きり丸は先生を呼びに、三人で教室を飛び出した。団蔵と虎若が挟み込むようにして伊助に付き添い、不器用に伊助の頭を撫でる。兵太夫と三治郎は、仲直りにはきっかけが必要だね、と不穏なことを呟きながら顔を見合わせてからくりの相談を始めた。喜三太は癒やしの提供だと言って部屋にナメ壷を取りに向かい、それを阻止すべく金吾は慌てて喜三太のあとを追った。
_しばらくすると伊助は目元を拭いすっくと立ち上がった。
「団蔵、虎若慰めてくれてありがとう。兵太夫に三治郎、気持ちは嬉しいけどからくりは仕掛けなくていいから」
_庄ちゃんのとこ行ってくる、と言う伊助を、団蔵と虎若が心配そうに見上げた。
「伊助、大丈夫か?」
「うん。僕は皆に慰めてもらえたけど、庄ちゃんを慰められるのは僕だけだから」
_背筋をピンと伸ばして教室を出ていく伊助を見送って、残った面々はようやくほうと息を吐いた。


20120219

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -