「……黒主、黒主!」

この学園に入学してから、そろそろ一年。昼夜逆転生活を強いられた身体は授業中といえどやすやすと睡魔に屈する。優姫は私に比べて随分と素直なせいか欲に忠実なのだ、良くも悪くも。

「……ったく、しょうがないなじゃあ錐生零!」
「先生、錐生くんも寝てます」
「こいつらはいつもいつも、一体何がそんなに忙しいんだ…?」

夜間部の秘密は教師も知らない、風紀委員の仕事が夜中中あることも当然。多数の女子生徒、そして稀に男子生徒にも恨まれ教師からの理解と応援はさっぱり期待できない。そんな過酷な役職である。

「……じゃあ、千宮宵月!お前は起きてるか?」

この順で当てるなんて意地が悪いと思う。教師というのはなにかとそういった繋がりで当てていくのが好きなものなのだろうか。一応完全に睡魔の手に落ちる直前で彷徨っていた意識を緩やかに引き戻して私は口を開く

「……はい?」
「……なんだ、お前も寝てたのか?取り敢えず、この問題解け!」

教科書を睨む。完全には寝落ちてなどいなかったのだけど、向こうにしてみればきっと同じなのだろう。無駄な抵抗は止めて黒板の前に出て問題を解く。

「補習だ!黒主、錐生零、千宮宵月!」
「……え、私も?」

問題は解いたのだ。チャラにしてくれてもいいではないか。しかし、規範が云々というアレなので成績さえ良ければという免罪符が通じないタイプなのだこの教師は。面倒なのに捕まってしまったと内心盛大に溜め息を吐き、私は残りの授業時間を有意義に過ごすべく、机に突っ伏した。


[ 4/4 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -