ただ、何をするでもなく外を眺めていた。美しい庭園はお気に入りの場所の1つだけれど、外観を見てここが暗殺部隊の本拠地だなんて誰が思うだろうか。

そんなときに、ふと聞こえたリップノイズに放置していた左手を見ると、エメラルドグリーンが揺れていた。

「なあに?いきなり」

くすくすと笑っていると、生気があるのかないのかいまいち分かりかねる髪と同じ色の翡翠の双眸とかち合った。

「おはようございますー、なまえセンパイ」
「おはよう、フラン」


一体、どういう風の吹き回しだろうか。この子が素でこんなことをするとは余り思えない。
まぁ、憶測の域だけれど。この子の振る舞いだとか、行動パターンだとかをまだ把握したわけでもないから。

「どこで習ってきたの、そんなの」
「あー……ミーもちょっとかっこつけすぎたかなーって若干後悔してますー。やっぱり変態の真似なんてするもんじゃないですねー」
「……それ、誰のこと?」
「ミーの師匠ですー。あれはもう天性の変態ですねー」


フランは会話していて、なかなか飽きないと思う。普段の毒舌も、私に対してが元から少ないのもあるけど、出てこないし。
「あ、でもミーだって意味分かってないでやったわけじゃないですからー」
「……そうなの?」

左手の甲を翳して眺めていると、フランはもう一度その手を引き寄せた。

「……ミーは、一応センパイのこと尊敬してますから」
「……Auf die Hande kust die Achtung?」
いつかは忘れたけど、そんな詩を読んだ覚えがあった。
その一節を口に出してみると、フランはコクンと頷いた。

「よく知ってるわね」
「まぁ、語学の勉強代わりに読まされたんですけどねー」
「ふーん……」



"手の甲なら、尊敬"







あとがき
シリーズ化?本当は拍手にでもしようかと思ってたのですが。
フランは姫になついてます(笑)
これはまだフランがやって来たばかりの話。タイトル捻り無くてすいません……しかもRegina姫じゃない……


101114
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