「あ、もしもし隼人?」
『……なんだよ、なまえ』

受話器越しでも、相変わらず不機嫌そうな声。
「私、今から日本に行くから」

今既に私は空港にいて、数時間後に発つであろう次の便で行くことになっている。

『はぁ?迎えになんか行かねぇぞ』
「大丈夫よ、端から期待なんてしてないわ。アンタ、どうせ動けないとかそんなことになってるんじゃないの?」
『……どういう意味だよ』
「……私が知らないとでも思った?六道骸のこと」

向こうで隼人が黙り込む。実際、私だってほんの数時間前に知ったばかりなのだけど、何でもなく前から知っていた風に言ってしまうのはいつものことだ。

『……それで、なんの用で来るんだよ。六道骸の方は片ついてんぞ』
「分かってるわよ、そうでなきゃ電話なんてしない。九代目からの勅命。詳しい話は日本についてから追って連絡、らしいわ」

正直なところ、あまり良い予感はしてない。なんとなく、なんとなくだけど九代目の様子がおかしかった気がしたから。

「……で、しばらく日本にいなきゃいけないみたいだからアンタのトコロにでもいさせてもらうわ。不都合はないでしょう?」
『おまっ……勝手に決めんなよ、別に良いけどな』
「そう、ならいいわね。もう切るわよ、後でね」
『あっ……おいなまえ……』


まだ何か言いたげな隼人の言葉を遮って通話終了。

「……あ、」

忘れてた。
手の中にずっと入っていたはずなのに、存在を忘れていたそれ。ちゃんと、言わなきゃいけなかったのに。ただでさえ、もう日付は変わって1日遅れになってしまっている。

「……日本に着いたら、ね」

綺麗にラッピングされた小ぶりな箱をカバンに入れると、搭乗口へ向かう。これも、渡さなければならない。

「……Buon Compleanno,」






あとがき

獄誕\(^O^)/間に合わなかった
でも話の中の時間軸としては完璧(笑)

来日前夜のお話

そして日常編→リング争奪戦って感じ


とりあえず、獄寺おめでとう!
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