「スクアーロ、運転なんてできたのね」
普段乗り慣れたリムジンの後部座席とは違っているものの、それなりの値段だろう車の助手席で見つめた横顔はひどく不機嫌そうだ。

「そりゃあなぁ」
「こういうの、苦手そうだったんだもの」
「う゛ぉ゛ぉ゛い……お前俺のことなんだと思ってやがる」

少しばかりか、けっこう粗野な運転を覚悟していたわりには静かで意外に思っていると、何を勘違いしたのかステレオのスイッチを入れる。

「別に、要らなかったのに」
「お前のためにつけたんじゃねえよ、おしゃべりがぁ」
「だってスクアーロ退屈そうだったから」

先程も言ったとおり普段の私たちの移動手段というと下っ端の隊員が運転することが圧倒的に多い。今回の任務は人手をさけないからとのことだったからこうなっただけだ。

「機嫌悪いのね」
「面倒だからなぁ、こういうのは好きじゃねぇ」

応じる声もヴァリアー邸や、外にいるときよりも心なしか穏やかに感じる。
カーステレオからかすかに流れてくるニュースに耳を傾けていると、日付にはっとする。

「スクアーロ、今日誕生日じゃなかった?」
「この年じゃあ嬉しいも何もねぇ」
そういうものか、と思いながら窓の外に目を向ける。3月といえば春に近いのだけれどこちらの気温は日本とは違ってずいぶんと寒く、日も短い。どちらかというと陰鬱とした雰囲気が嫌いではないからいいものの、あまり好ましいとは大方の人間は感じないだろう。
いつの間にかニュースから音楽番組に変わっていたラジオからは耳慣れない曲が流れてきていた。



あとがき
習作…?リハビリ…?なんだかすっごく短い話になったけどスクアーロお誕生日おめでとう!それと、自車校がんばってる鮫好きの友人へ!

130313
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