今日の放課後は最悪や、久しぶりに部活がオフんなったからさっさと帰ろう思ってたら急に雨が降ってきよって。
そんな強ないししゃあないから、濡れて歩いとると後ろから肩叩かれて、振り返るとなまえ先輩やった。

「うち、近いからおいで?」

傘の下でびしょ濡れの俺にいつもと変わらんふわふわした笑顔で言うアンタに、絶賛不機嫌な俺。
当たり前やろ、折角セットしとる髪型もこの急な雨のせいで台無しや。好きな人の前でくらい、かっこつけときたいのに。
かといって、この嬉しい誘いを断れるはずもなく、素直に頷いた。そうすると、アンタはちょこっと背伸びして俺に傘を差しかける。……入れということなのか。

「なまえ先輩」
「うん?」
「傘、俺が持ちますわ」

傘を取り上げて、手を引いて歩き出す。前向いとるから分からんけど、きっときょとーんと間抜けヅラしとるアンタもかわええ、なんて絶対に言ってやらん。



「光くんて、黒猫みたいだよね」
「……はぁ……何言うてはるん?」

貸して貰ったええ匂いのするタオルで頭をがしがし拭いてる俺を頬杖ついてじいっと見とる思ったらいきなり変なこと言いよった。

「性格とかちょっと猫っぽいなー、て」
「せやったら、先輩もっすわ」
「えぇ?私が?」

なんや、不満なんやろか。唇が固く結ばれとる。

「仔猫みたいやもん、真っ白な仔猫」
「私白ってキャラじゃないと思うんだけどな……しかも子どもって」
「ええやないですか、かわええし」

んーやら、むーやら唸っとるけどこの人は俺がさっきうっかりと可愛いと口にしてしまったことに気づいとんのやろか。
ゆらゆらと尻尾が揺れるのさえ見えてきた俺は、多分末期。

「……なまえ先輩」
「んー?」
「キスしたい」
「……ん、いいよ」


廃墟みたいな教会で、アンタとキスがしたいと言ったらアンタはどうするんですか。
たしか、アンタは退廃的なものが好きなのだといつだったか言っていたし、ロマンチストだった覚えがあるけど。

「……プロポーズ?」
「端から聞いたらそうきこえるんとちゃいます」
「んーん、いいかもしれない」


そして何故か、某先輩の溺愛しとる某アニメーション会社のキャラクターを描いたマグカップを出してきて、かわいいでしょ?なんて訊くから、千歳先輩にでも訊いてください言うといた。

俺は、黒猫決定かいな





あとがき
最近衝動書きばっかりですね、うん、よく分かんないのしか書いてない。
何年だか前に某雑誌でarynがジブリで演じるなら……みたいなので「俺、●ジ」って言ってたしやっぱり財前は黒猫だろと。マグカップのもジ●さん。

BGMは美人形さんの黒猫。廃墟云々。



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