「ねぇ、沙慈はどうして人が歴史を学ぶか分かる?」
「え……?」
姉さんの大学の友人で時々遊びに来るなまえさんは、史学を学んでいたらしい。だから僕がレポートで四苦八苦していると聞いて、助けに来てくれたみたいで、僕としては大変ありがたい。
そうしたら、いきなりこんな話を振られたけれど、僕の頭に浮かんだことを口にすればルイスの受け売りにしかならない。
「なまえさんは、どうしてだと思うんですか」
「私……?うーん、昔先生が言ってたんだけども……歴史はね、繰り返すのよ」
「繰り……返す……?」
ペンを置いて一息吐いてから、なまえさんが話し出す。この人はいつでも、自分の好きなものについて話すときはこうして作業を全て止めてしまう。
「そう、特に政治のこととかね。歴史上の政変だったりとかを検証してみると同じことが今起こっていたりするものなのよ」
「へぇーえ……」
「だからね、技術開発者になるからって歴史の勉強を疎かにしないことよ。新しいものを作り出すのなら、そうでなきゃ自らの生み出したものが惨劇を引き起こすリスクもある可能性があるんだから」
なまえさんは不思議な人で、あまり姉さんと気が合う人だとは思えなかった、それを尋ねると姉さんは笑って言っていた。
「なまえはね、似てるわよ私と。私たちはね、真実が好きなのよ」
「……ちゃんと勉強します」
「うん、よろしい。過去を知ることは決して無益なことじゃないのよ」
それじゃあ仕上げちゃいましょうか、と再びペンを手にしたなまえさんに僕は頷いた。
あとがき
書きたかったことがまとまらなかった。昔のこと知っても意味なくない?って言ってるのが聞こえて歴史大好き人間の神経がブチッと言っただけです。
沙慈ってなんか歴史嫌いっぽかったから選んだだけです(笑)
歴史は繰り返す、は実際に日本史の先生に言われた
110616