「あー……あの生物のジジイさっさと死ね」
「まぁ、そう言うなよ。というより、あれはお前も悪いぞ」

ふしゃーっという声が聞こえてきそうな勢いでなまえが毒づくのを見ながら俺は宥めているのか諌めているのかよく分からないことを言ってしまった。
本当に、仔猫の威嚇とあまり変わらないんだなまえは。かといって、余計に怒らせても面倒だし、同意するのもいささかマズイ。

「うわー愁生くんたらマジメー」
「……いや、普通だろう?」
「俺からすると普通じゃねぇの、No music No Life!」
「あぁそう。」

まぁ、簡単に事情を説明すると自習時間に音楽聴きながら勉強してたら様子を見に来た教師に叱責をくらった、というわけだ。
別に、自習時間に音楽を聴いている生徒は珍しくもないし、騒いでいるよりはどう考えたってマシだ、というのがなまえの持論らしい。


「俺もう今度の期末生物絶対勉強しねぇ」


寧ろ、高得点の方が見返せるんじゃあないだろうか。


「その前に、お前いつも生物やらないだろう」
「俺は文系教科に全てをかけている」
「……自慢にならないぞ」


イライラとした空気を滲ませつつ、手元の音楽プレーヤーを弄り始めるなまえの耳からイヤホンを奪い取ってみると、涙目で睨まれてしまった。

「……愁生なにすんの」
「いや、どうしてそんなに音楽好きなのかなって」
「自分の世界に踏み込まれたくない。あと世界から切り離されてる感じで、落ち着く」


なまえが好むけたたましい部類の音楽に俺はあまり詳しくはないけれど、なまえの世界観にはこれらはぴったりらしい。

「……あ、でも愁生がやめろっつーなら考えても良い」
「そう、でも俺も別にやめて欲しいとは思ってないからいいよ」

あぁ、また甘やかしてしまったのだろうか。でも仕方ないじゃないか、彼にとって切り離せないものだと言うのに、無理矢理取り上げたら何をしでかすか分かったものじゃない。
あの人たちは、なまえがどういう人間なのか全く解ってない。脆弱な精神を繋ぎ止めるものが無ければ、多分……

「やっぱ愁生だいすき」
「はいはい、俺もなまえのことは好きだよ、それなりに」

なまえは俺と少し、似ているから解るんだよね





あとがき
あ、すいません実話ですしかも昨日のこと。愁生くんに慰めて貰いたかった。
男主くん書きやすい。もろ自分で書いてるので。依存癖が酷いのです、人にもものにも。

多分音楽と2次元なかったら生きてらんない


110611
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