「僕は、貴女のそういうところが好きですよ」
凄く似合わないというか、異質だと思った。どうしてだろう、私はドクロとお茶をする約束をして、ここへ来たはずなのに。何で私の向かいにコイツがいるんだろう。
「……意味が分からないんだけど」
「クフフ、貴女がティーカップを持つその手で殺人をするなんて、誰も気づきはしませんよ」
「本当、アンタと話してるの、疲れる」
顔を見ているのが嫌になって、私はテーブルの上の焼菓子に視線を落としてただそれをじぃっと見ていた。
「僕はね、マフィアが嫌いです」
「……知ってる」
「でも、貴女のことはあまり嫌いではないんですよ」
「それはどうも」
焼菓子を見ているのにも飽きて、私はティーカップの縁をぐるりと巡る模様を見つめ始めた。
お願いだから早く戻ってきてよドクロ。ああもう、今度ツナヨシに会ったら邪魔しないで、って言っておかなくちゃ。コイツと二人きりなんて全然楽しくないもの。
「僕は貴女の優しいところが好きです。悪に身を置きつつも悪になりきれない、異常の中で正常である異端さが特に」
「……バカにしてるの」
段々と耐えられなくなってきて、思わず顔をあげるとオッドアイ。あぁ、もう嫌だ。
「おや、そういえば今日は6月9日でしたね」
「それがどうかした」
「今日は僕の誕生日なんですよ」
あぁ、もしかしなくてももしかしたら、ドクロがツナヨシに呼ばれたのはそういうことなのかもしれない、ということに気づいて私は溜め息を吐きたくなった。
「それでは、折角だから貴女から約束を一つ、プレゼントしてください」
「……はぁ?」
いきなり何を言い出すんだろうこの男は。
「なまえ、もし僕がこの世のマフィアを滅ぼした暁には、どうか貴女から一度だけで良いです。キスをしてください」
いいですね?と言って、アイツはさっさといなくなってしまった。
……バカじゃないの、あげるなんてまだ言ってないわ。
あとがき
突発的に思いついた。約束を一つプレゼントしてください。
本当はもっと違う約束だったんですが、なんだったか私が忘れてしまいました……
クロームちゃんはボスと他の守護者とパーティーの準備、ついでに骸の頼み事(お嬢さんとお茶)をセッティングしてくれたのです。
とりあえず骸はぴば!
20110609