「……先輩、ホンマにやんですか?」
「あったり前でしょ」

私の手にはピアッサー。本当は、ニードルの方が皮膚に対する負担は軽いらしいけれど私は生憎とそんなに大きな穴を空けるわけではないから、そこら辺でちょちょいとピアッサーを購入してきたというわけだ。
自分だって、随分とたくさん空けているというのに財前はなにか得体の知れないものを見るような目でピアッサーを見ているのが、なんだか笑える。

「ねっ、財前空けてよ」
「……なんでですか、そのぐらい自分でできんのですか」
「折角だしー」
「なにが折角なのか、よう分からんッスわー……」

そうして財前は机の上のピアスと私の耳とを交互に見比べる。

「……どんだけ空ける気ですか」
「えー……8つ。左5で右3ね。右1っつはトラガスでよろしく」
「……先輩、Mとちゃいますか。あと俺が空けること決定とかホントにしゃーない人ッスわー」

しぶしぶといった様子で私からピアッサーを受け取った財前は隅っこのクーラーボックスから手頃な保冷剤を取り出して私の耳に当てた。

「うわぉ、冷たっ。早くしないと、白石来ちゃうよー見つかったらうるさいじゃん」
「まぁ、そらそーですけど。冷やさんと危ないんはそっちッスよ」
「んあー分かってるけどー」

耳たぶを冷やしながら、見上げた財前の耳にはキラキラとピアスが光ってて私の耳にもちょっとしたら同じようになるのかと思ったらなんだか嬉しくなった。
財前が空けてくれたら、多分見る度に財前のことが浮かぶんだろう。よく言う、消えない痕ってヤツだ。所有印よりも、爪痕なんかよりもはっきりと残るそれを求めたのは私が見かけよりもロマンチストで、もうすぐここに来ることもなくなる一抹の寂しさを紛らわすためだろう。

「……ねぇ、財前」
「なんです」
「傷物にした責任とって私と結婚しよう」

「……やっぱ自分でやってください」






あとがき

口調分かんない……四天よく分からないけど財前が気になるので書いてみた。
ちなみにここ部室。時期は大会終わってちょっとした辺りかな



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -