クラスの女子たちから、日本のバレンタインについて聞かされた後には予想通りねだられるまま私はイタリアのフェスタ・デッリ・インナモラーティについて話した。
多分、彼女らはこの日の起源など知りもしないし、知ろうともあまり思わないのだろう。私も敢えて口にして彼女らの気を害するほど馬鹿な人間ではないし。

かといって、一部のチョコレートを貰えない男子が菓子会社の思惑がどうの、という言葉もあまり間違いではないと思った。

だから、一緒に過ごす相手がいなければ普通の日と何ら変わりのない2月14日。そして例え相手がいようとも甘やかな行事に私は興味がないのだ。更に言うと私が選ぶ人間は同じような人種である確率が高いと私は勝手に思っていたらしい。

「……これって、もしかしなくてもそういうことよね」

目を覚ました私の、真っ先に目に入ったものはと言えばシルバーのリボンがかかった小箱で、それを開くとアズライトのピアスが鎮座していたものだから、妙に狼狽えた。

それが、見覚えのあるものだから、尚更。

先月、いきなり雑誌を私に突きつけてもしつけるならどれがいい、てか言っていたヤツは隣でぐーすかっ眠っている。
あぁそうだ、こいつは何かと律儀なヤツなのだった。

なまえ、と名を呼ばれ仰々しく手渡されるよりは、いくらかマシだ。

予想外の事象にはもう悲しいくらい耐性がついているし、運が良いことに今日が終わるまでまだ十時間以上の猶予がある。



……少しくらい、ノってやっても良い気がした。





あとがき
名前変換がやっつけ感漂う位置……(笑)
遅れましたがバレンタインです。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -