サン・ヴァレンティーノという人は後に自らの処刑日がこのようにカップルの為の日になったということを果たしてどう思っているのだろうか。
ショコラ色のカードにゴールドのインクのペンで走り書いたメッセージにもう一度目を通して、なまえは淡いピンクのリボンを指先で弄ぶ。彼が本当に愛の聖人たる人物であるならば、多少は悦びとするのだろう。
先日、綱吉がジャッポーネのフェスタ・デッリ・インナモラーティについて話してくれたことを思い出して、思わずくすくすと笑ってしまった。
「……なに笑ってんだよ?」
耳元の声に、驚いて顔を上げると訝しげなベルと目が会う。
「うーん……?ジャッポーネの風習は可愛いげがあると思って」
「あぁ、その日だけ女が男にってヤツだろ」
手の中にあったカードがいつの間にかベルの手に渡っていて、取り返そうと手を伸ばすとひらりと手の届かないところまで逃がされる。
「いいじゃん。どうせ俺のなんだし」
「それは……そうなんだけ、ど……」

奪われたカードの代わりに、その手にカトレアの花束を渡してやるとなまえはふわりと笑ってみせる。
「……キレイ……ありがとう」
「当たり前だろ?王子が姫のために選んだんだぜ……んで、それは何?」
不機嫌そうに指差した小さなアイスブルーの花。
「あぁ……これ?フランがくれたの。レースフラワー」
それにそっけない返答を返すベルだけれども、快く思っていないことは明白なのだ。

「……ねぇ」
「なんだよ」
「あたしのプレゼントはなんだと思う?」

ショコラ色のカードにゴールドのペンで書いたメッセージ、それは何につけられているのか、






あとがき
遅れた……1週間も……
ちなみにレースフラワー(青)の花言葉は無言の愛だったり。


110220
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