アレルヤ
2011/06/28 06:15



私が死ぬのならね、と彼女は呟いた。彼女が唐突に仮定の話を始めるのはいつものことだ(電波と言う勿れ)し、それがあまり楽しい話題でないのもおかしな話でもない。
ただ、のんびりと相槌をうてば彼女もまたのんびりと後を続けるのだ。
「多分、あなたに殺されるわ」
「ふぅん、それで?」

少し、言葉を間違ったらしい。彼女の目が細められるのを黙って見ていると、また何事もなかったように始める。
そこまで気分を害したわけではないようだ。
「それが、私の望みでもあるのだけど。真実だとも思うの」
「どうして?」

彼女は、ワンピースの裾を翻して笑った。

「あなたのキス、長いんだもの。窒息しちゃうわ」
「それは、催促と取ってもいいのかな?」
「えぇ、どうぞ?アレルヤ」

どうせなら、このまま殺す勢いでね?





幸福な死因



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