「恋人にフラれた」と言って俺の家に幼なじみのアサヒが上がり込んできてからかれこれ4時間。


そこそこ強いはずなのによほど傷心していたのか、6缶目を飲み尽くしたあたりでアサヒの意識が混濁し始めた。


そこで俺は衝撃の事実を聞いてしまう。


「え、アサヒの恋人って男だったん?」

「そーらよ」


ソファーにもたれかかってふにゃふにゃしながらアサヒは答える。

俺は動揺しきって、9%の酎ハイを一気に飲み干した。


「男なんて絶対無理って言ってたじゃん」

「んー…、あ…、うん…。シンにはそう言ってたね」

「なんで? …つまり俺とは絶対無理ってこと?」

「わ!? シッ…ン… 近いって…!」


気づいたら俺はアサヒをソファーに組みしいていた。

逃げられないように両手を掴んで押さえ込む。


「…とっくに気づいてるだろうけどさ、俺お前のこと好きなんだよね。昔からずーっと。
でも男は絶対ないって言うからさぁ、気持ち殺して割り切ってたのに…っ」

「……シン…っ」

「男と付き合ってたとかなんだよ、それ…っ。ふざけんな…!」

「まっ…! は、はなせっ…!」

「うるせ…、っ?」


もう関係が終わっても構わないからこのまま怒りに任せてぶち犯してやろうかと身を乗り出したその時、膝に馴染みのある固さを感じて俺はビクリと体を停止した。


「…は…? なんで勃ってんの…?」

「……っ」


まさかと思って改めて目で確認する。

けれど確かにアサヒの股間の中心はデニム越しでもわかるくらい大きく主張していた。


「え? 酒飲みすぎて脳バグった?」

「…っうるせぇ…!早くはなれろって…!」

「なんで? 俺は無いんじゃねーの?」

「んっ…!んぅ…!」


目一杯顔を背けているアサヒの耳を撫でてみると、聞いたこともない声を漏らして肩をビクつかせた。
その反応にこっちの心臓まで跳ね上がる。


「おい、そういうリアクションされると止まんなくなるんだけど」

「ばっ…か…! やめっ…んん…!」

「は、なんだよその声。酔っぱらいすぎて誰でも良くなってんの?」

「ちがっ…」

「本気で抵抗する気ないんならこのままヤッちゃうけど」

「─っ!だ、だめ…!やだ…!」


体を強張らせて拒絶するアサヒの言葉に胸の奥がズキンと痛む。

…でもそれとは裏腹に声色は甘いし下半身はさっきよりも固くなっていた。


「…っわけわかんね…。なんなんだよお前。おい、こっち向けよ…っ」

「や、だ…っ!」

「押し倒されただけで勃起するような尻軽のくせに俺とは無理ってなんだよ。本当は俺のこと嫌いだったの?」

「っちがう…!」

「じゃあなんでっ…」


「…きだから…!」

「…あ?」

「っすき、だから…!」


強引にこちらを向かせたアサヒの顔は真っ赤に染まっていた。

涙の溜まった目で見上げられて思いもよらない言葉を突きつけられ、頭がフリーズする。


「…へ…?」

「好きだって言ってんだろ…!バカ!」


ポロリと涙をこぼした目はとても嘘を言っているようには見えない。


「…は? どういうことだよ。じゃあ、なんで…っ」

「…だって、そういう関係になったら絶対終わりが来るじゃん」


次から次へと涙をこぼしながらアサヒは震えた声で言葉を続ける。


「シンには嫌われたくないから…っ、ずっと一緒にいたいから、だから…っ」


「…ムカつく」

「──っんん…!?」


クソ。なんだよそれ、しょーもねぇ。

苛立ち混じりに呆れながら、俺はアサヒの頭を掴んで無理やり唇を奪った。

「ちょっ、んぅ…!っふぁ……」

「っは、何が嫌われたくないから だよ」


舌を強引に入れて舌を絡め取る。

戸惑ってるような、苦しそうな吐息が聞こえる。
それでも構わず、角度を変えて何度もキスをする。

「今さら嫌いになるわけないだろ。ガキの頃からお前のダメな所なんて散々見てるっつーの。なのに勝手に決めつけて逃げやがって…っ」

「シン……っ」

「…はぁ。そのエロい顔も俺より先にどこの誰かも知らねー男に見せたのかと思うと…ほんっと腹立つ…」

「えっ、ひゃあっ!?」


ぎゅうっと乳首をつねるとビクンッと体が跳ねた。

そのままぐりぐりと親指で擦り上げると、アサヒは背中を仰け反らせ喘ぐ。


「ひっ、あんっ!あっ、だめぇ……!」

「すげぇ感度いいのな。元カレにどんだけ開発されたんだよ」

「ち、ちが…っ、シンに、触られてるからっ…
!」

「ふーん。どうだか」


そう言われるのはまんざらでもないけど、どうしても元カレの存在がちらついてイライラしてしまう。


クソ。アサヒのアホ。クソ馬鹿。

苛立ちに任せてシャツを捲り上げてズボンに手をかけるとアサヒは慌てて止めてきた。


「まっ 待って…!まだっ、心の準備が…!」

「うるせぇ。こんなに煽られて待てるわけねーだろ」

「んあっ…!あぁあ!」

パンツごと一気に脱がせてアサヒのものを掴む。

すでに先走りが溢れていてぬちゃりと音を立てた。


「……はは、こっちはもう準備万端じゃん」

「やあぁ…っ!」


乳首を舌で転がしながら指先で竿の先端を弄ぶと、アサヒのものからさらに熱い先走りが溢れ出してくる。

それをすくい取って奥の秘部に指を伸ばす。


──くちゅ…っ、ちゅぷっ


「ひああぁっ!」

ナカは既に柔らかく解れていて難なく指を飲み込んでいく。

また男の影がよぎって脳内が焼けるように熱くなった。


「へぇー、結構ヤったみたいじゃん」

「〜っ…! ご、ごめ…なさ……っ」

「………」

「ふぇ…っ!?あっ、あっ、あああっ!!」


無言で指を増やしてナカを目一杯かき回す。

それでもアサヒの体は拒絶することなく刺激を受け入れる。


「ああっ!やあぁ!だめ、そこぉ……!」

「ここ?」

「ひっ!ああっ!!だめ、だめだってばぁ…!」

「そんなよがりまくって何が駄目なんだよ」

「んあぁああッ!」

コリコリとした部分を執拗に責め立てるとアサヒは一際高い声を上げて体を痙攣させた。


「はは、もうイったのかよ」

「あっ、あぅぅ……!」

「長い付き合いだけど、アサヒがこんなに弱いなんて知らなかったな。…まぁ、彼氏の開発が上手かったのか」

「……っ!ちっ、ちがう…!」

「嘘つくなよ。じゃあなんでこんなに敏感なわけ? 」


「〜〜ぅぅ、…っじ、じぶん、で…っ」

「…は?」

「自分でヤッてたんだよ…!」

「……え?」

「前の男とは何もヤッてない…!全部、自分で…っ、…クソ、こんなこと言わせんな馬鹿…!」


「前の男とはヤッてない…? それマジ、っわ!?」


グイッと首を引き寄せられて唇が重なる。そして今度はアサヒから舌を入れてきた。

俺は頭が真っ白になりながらも無意識にその柔らかい感触を追って舌を絡める。


「っふ、んん……っ」

「んむっ…!んんん……っ」

「っはぁ……っ、俺、男が好きとかじゃなくて…っ、シンだけが好きみたい」

「…へ…っ?」

「他の男とそういう雰囲気になってもただ気持ち悪いだけで、全然ダメだった…」


涙に濡れた熱っぽい目で俺を見詰めるアサヒ。

その言葉と表情が、俺の理性を一気に砕いていく。

気がつくと俺はアサヒをきつく抱き締めていた。


「早く言えよ、アホ…!」

「いっ、言えるわけないだろ…!こんな…っ」

「あーもう、お前のせいで頭ん中ぐちゃぐちゃ。…責任とれよ」

「んん…っ!!」


乱暴に唇を奪いながらズボンをおろして自身を取り出す。

欲望を剥き出しにしているようにそこは固く反り勃っていた。


「…優しくする余裕、ないから」

「シっ…、っあ…!うあぁああ!!」

一気に貫くと同時にアサヒの体が跳ねる。

あまりのキツさに歯を食い縛るが、熱くて蕩けそうなナカの感覚にすぐに持っていかれそうになる。


「あっ、ああっ!あぁあ……っ!」

「っく……!すげぇ……っ、絡み付いてくる……っ」

「やっ、ああぁっ!あっ、あっ、ああっ!」

腰を揺らすとアサヒの口から甲高い喘ぎ声が上がる。

もっと聞きたくてさらに激しく突き上げるとアサヒの背が仰け反った。


「やああぁああ!!」

「くっ……!そんな、締めんな……っ!」

「やぁっ!むりぃ…っあぁ!ふあぁあっ!」

「はっ、エロすぎ……っ」

「やああぁっ!ああぁっ!ああああ……っ!」


ビクビクと全身が震えている。
限界が近いようだ。

でも俺の腕の中で悶えるアサヒをもっと見たくて、アサヒのことをいつまでも自分だけのものにしたくて、自身の射精欲も抑えつつアサヒのモノの根本を強く握って絶頂を遮る。


「やああぁっ!なんでぇ……っ!イきたい…っ!シン…っ!!」

「まだ足りない…っ」

「ひあっ!あっ!あっ!ああっ!!」

「ほら、ここ好きだろ?」

「〜〜っ!あっ!ああっ!やあぁ……っ!」

「はは、可愛い」

「やあぁ……!くるし…っ、やらあぁ…っ!あっ!あっ!あぁっ!」

「お前が悪い。今まで我慢させられてた分、全部ぶつけるから」

「ひっ!あぁあっ!シン…!」


悲鳴を漏らしながら必死に俺にしがみつくアサヒ。

ゾクゾクと支配欲が満たされて下半身に熱い疼きが溜まっていく。



「嫌われたくないとか、そんなしょーもねぇこともう考えるんじゃねーぞ」

「んあぁ!っ、う…ん…っ!」

「…ちなみに、他にはもう彼氏候補の男はいないの?」

「いっ、いない、よ…っ!」

「ほんとに?」

「いないってば…!あああっ!」


…ヤバいな。
俺ってこんなに束縛強いタイプだったっけ?

アサヒのせいで押し込めていたタガが全部外れてしまったのかもしれない。


「…アサヒ。俺もう自分の気持ち我慢する気ないから。ウザくなったら言って」

「……んあ、あぁっ!」


アサヒは何度も首を横に振って、俺を抱く腕に更にぎゅっと強く力を込めた。


「シン…っ!好き…!」

「……っ!」


…ヤバい。ヤバいヤバいヤバい。

このタイミングでそういうこと言う?


「ふあぁあっ!? あぅうッあああ!」

「くそっ…、マジで止まんなくなるだろ、馬鹿…!」


俺はアサヒの体を抱き起こして向かい合うように膝に乗せる。

自重でより深くまで繋がったアサヒは目をチカチカさせながら体を震わせていた。


「あっ、ああぁ……っ!!」

「アサヒ、もう一回言って…っ」

「んん……っ! すき…っ、シン…っ大好き…!」

「…っはぁ…! 俺も、愛してる……!」

「あぁああっ!!あぁっ!ああぁっ!んあぁ……っ!」

「っ、もう出る……っ!」

「あぁあ……っ!おれも……っ!イッちゃう……っ!!」

「……っぐ、う……!」

「あ、ああぁああ―――ッ!!!」


絶頂を塞き止めていた手を離すとアサヒは全身を大きくわななかせた。

俺は限界までアサヒの中を打ち付け、そしてドクンドクンという鼓動を感じながら二人同時に果てた。



「はあ…はぁ…っ」


荒い息を整えているとアサヒが朦朧としながらも、ふにゃりと笑ってキスをしてきた。


「……わり、中出ししちまった」

「いいよ。嬉しいから」

「……あのさぁ」

「なに?」

「……お前、可愛すぎ」

「へっ!?」


真っ赤になって狼化するアサヒ。

今日はアサヒの今まで知らなかった顔を見てばっかりだ。


「ちょっ、待っ……んんんっ!!」

「ふっ……ん……」

「んんっ、ぁふ……っ」

「……っは、アサヒ、可愛い」

「んっ、シン、んむっ」

「ん……っちゅ、くちゅ」

「はっ、あ……っちゅる、ちゅ…っ」


ついばむようなキスからだんだんと深くなって、舌を絡めあう。


「ふっ……、っ、ん……っ、ぁ……」

「っ、はぁ……、っ、アサヒ、すげぇエロい」

「んんっ…!んあっ…、またおっきく…!」


アサヒの中に入れたままの自身に再び熱が集まっていく。


「ふあぁっ、シン……っ!あぁっ!」

「もう一回しよ」


アサヒが小さく頷くと同時にその震える体を押し倒す。


欲情がちっとも収まらない。
もっともっと、アサヒの色んな姿が見たい。


「…っ、ごめん、全然治まんねぇ…。体、辛くないか?」

「んんっ…!あやまんな…っ、俺だって…!もっと、シンがほしい…っ」


「…っは、言ったな? 後悔するなよ?」

「んああっ!!」


…そして俺達はお互いの体力が尽きるまで、何度も何度も繰り返し求め合った。


end

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