夕涼みは縁側西瓜で決まりです



「あ、」

 燃えかすが服に付いていた。手で払ったら崩れて繊維に混ざりこんだ。失敗したと思いながら、汚れたシャツを脱いでゴミ箱に投げ入れた。替えはまだあるしいいだろう。
 今回のオツカイは山奥で暴れてるという悪魔殺し。地元の人間から被害届けが出たので、しょうがないから消してきなさい、とのことだった。人間の開拓に腹を立てた老樹の悪魔。老樹は既に枯れかけていたのか燃えやすく、容易く片がついた。
 鏡には煤で汚れた自分の顔。汚れた箇所を指で磨ると、それはのびて汚れを増やした。

「ご苦労様でした、お風呂入れますよ☆」

 突如現れる気配に指が揺れる。横目で見ると右側に、いつものスーツ姿のメフィ兄の姿。ここはメフィ兄の部屋。報告に来たがいないようなので待っていたのだ。

「頼んでいません」
「顔が煤だらけではありませんか」

 メフィ兄は腰を曲げニヤニヤと笑いながら顔を近付ける。私は左に一歩ずれて顔だけメフィ兄の方に向ける。メフィ兄は腰をのばして首を傾けながら見下ろし、私は見上げる形になる。

「目標はけしました」
「よく燃えました?」
「とても」
「そうですか、薪用に持って帰って来て貰えば良かったですねぇ」
「嫌です面倒臭い。じゃあわか帰るんで」
「ちょっと若、はいコレ」

 簡単な報告を済ませ帰ろうと出口に向かおうとしたら手渡された布。

「何ですかコレ」
「浴衣です」

 ニコニコ笑いながら手渡された物、浴衣。帰ると言ったのに聞こえなかったのか。

「いりません」
「お風呂でさっぱりしたのに同じのを着るつもりですか?」
「入りません」
「今日はモコモコピーチ風呂☆ですよ」
「…はいらな」
「冷蔵庫で西瓜を冷やしてあるので後で食べましょうね」
「……はぃら…」
「いってらっしゃ〜い☆」
「…ぅ……」

 風呂に入るのは帰っても同じことをするからだ。折角用意してもらったのを断る理由もないからな。西瓜だってメフィ兄一人では食べきれないだろう。残ってしまってはもったいない。しょうがないから少しぐらい付き合ってやってもいいだろう。
 ニヤニヤしながらヒラヒラと手を振るメフィ兄が若干気に入らないが、私は仕方なく風呂へと向かった。






「…全く、素直じゃないんですから。さて、私もお揃いの浴衣にでも着替えましょうかね〜♪」






押されると弱い若ちゃん。泡風呂おもしろいよね!もしかしたらつづく、かも?




モドル







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