別に寝心地がいいわけじゃないけど



 ふわふわと意識は乳白色に。私は横になっているのだろうか。状況がよく把握できない。頭がまわらない。酸素を取り込もうと大きく鼻から息を吸い込む。鼻腔に広がる懐かしい、好きだった匂い。
(好きだった…?)
 それはとても落ち着くものだけれど、何の匂いなのか未だに分からない。
(知ってるけど、)
強く香るほうへと首を捻り、頭を軽く左右に動かして居心地のいい場所を探す。そしてまた、微睡みの中へと入っていく。
「フフッ、くすぐったいですよ」
 頭上から声がする。落ち着いて静かな、耳によく馴染む声。その声にここは安全なのだと、無意識下で確認する。息を大きく吸ってまた微睡みへと意識を傾けた。
「随分とお気に召したようですねぇ、…特別、ですよ」
 どこからか吹いてきた風に撫でられ、髪が顔に落ちる。
(じゃま)
 スッと心を読んだかのように髪がどかされた。そのまま頭に手がおかれ、じわじわと体温が溶け込んでいった。




(ああ、



同じだ)






モドル







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