コンビニに到着すると、アマイモンが服のポケットからカードを1枚取り出すと、トオルにハイと手渡した。

「シハライはこれで、と兄上が言っていました。」

「わかりました。」

もう慣れた感じで、トオルはクレジットカードを受け取り、それから店内へと入った。

「ボクも選びます。」

アマイモンは、もうお遣い本命の品、ゴリゴリくんは忘れたと言わんばかりに、足早にお菓子コーナーを察知して向かって行った。

その姿を視界に入れつつ、トオルはアイスクリームの並ぶケースから、ゴリゴリくんソーダ味を見つけて手にした。

(そうだ!)

トオルは思いついたようにドリンクコーナーに寄り商品を選ぶと、アマイモンがガサガサしているお菓子コーナーへ向かった。

「あーさま、何か決まりましたか?」

トオルが棚からチョコ菓子選び手にした。

「ハイ、これにします。」


アマイモンは両手に抱える程の量の様々なお菓子を持っていた。

それからトオルは、お遣いの品とアマイモンの菓子、それと自分の分の買い物とを済ませてコンビニを出た。

「あーさま、ゴリゴリくんが溶けると問題なので、早くフェレスさまの所へ届けないといけませんね。」

「わかりました。」

「では、わたしは、」

「じゃあ早く帰りましょうトール。」

「え、えぇ!?」

「ほらトール、あっちに扉があります、鍵を使いましょう。」

アマイモンはトオルが有無やむ言う間もなく手をとって歩き始めた。

「あーさま、こんな時間にわたしが行くのは、きっとお邪魔になります!」

トオルが多少の戸惑いを見せて言った。

すると、アマイモンが歩みを止めて不思議そうにトオルを見た。

「何故です?」

「もう丑三つ時(午前2時)ですし、失礼になると思うので‥。」


「人間のルールという奴ですか?

ならばボクも兄上も人間じゃありませんから、当てはまりません。

トール、ボクは今トールに来て欲しいんです。なんとなく。

イヤ‥なんですか?」

アマイモンが淡々と語ると、それからトオルをじっと見つめた。

「‥わ、わかりました。

ならばゴリゴリくんソーダ味の行く末をとくと拝見させて頂きます!」

遠慮とか、逆らうとかいう選択肢なんて、トオルには最初から無いのであって。

「では帰りましょう。」

アマイモンに手をひかれてトオルは、また扉を超えた。




「あれ?」

扉の先は真っ暗な理事長室だった。

暗いだけあって、室内は無人だ。

「トールこっちです。」

何故かアマイモンが窓際に進み手招きした。

アマイモンはカタリと窓を開け放つ、すると自分が手に持っていたお菓子の入った大きな買い物袋をトオルに差し出した。


「持ってください。」

「は、はい?」

よく分からないが買い物袋を受け取るトオル。

その直後のこと、トオルは突然足が床から離れて身体が浮く感覚におそわれて、驚き目を見開いた。

「にょ!!!?」

トオルは神経を巡らせると、自分がアマイモンに抱きかかえられていることに気づいた。

「兄上は外に居ます。」

「え‥。」

アマイモンが軽々と窓枠に足をかけた。

トオルは悪い予感がしたが、もう遅かった。

初めてアマイモンに会った時のデジャビュ。

コードレスバンジージャンプ再びの一歩が、夜闇の中踏み出された。

「ふびょえっっ!!!!!?」

変な言葉を漏らして身を縮めるトオル。

しかし買い物袋だけは死守せねばと、力いっぱい手を握ってアマイモンのジャンプする上下運動を耐えた。

「トール、トール生きてますか?」

アマイモンが問いかけたのに気づくと、どうやら目的地に着地したらしく、トオルはそっと目を開けた。







モドル








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