【3・2・1・……Fight!!】
(とぅっ、たあ!)
(ぐあ!ぐあっ!)
『う〜〜〜〜』
「これでどうでしょう」
アマイモンは何やらボタンを手早く押していく。
すると
(スクリューバイト!!)
(ぐあああああ!!)
『ああ!』
「どんなものです、伊達に兄上とやってません」
ボタンを手早く押すと、アマイモンの使用キャラクターが必殺技のような技を出した。
凛のキャラクターは早くもHPが危うい状況。
『初心者相手に容赦ない…』
「ゲームですから」
『何その理由〜』
凛は渋々また適当にボタンをいじり回す。
すると、凛の横からメフィストが割って入る。
「凛、ボタンを〇×↑←↓→の順に手早く押しなさい」
『うん?メフィスト!』
凛はゲームの手練れであるメフィストを信じ、ボタンを手早く〇×↑←↓→の順に押して行く。
(シューティングキーック!!)
(があああああ!!)
凛の使うキャラクターが炎を身に纏いながらアマイモンの使うキャラクターに向かって蹴りを繰り出す。
適当であっても、それなりにダメージを与えていた為かなりの深手を負わせたもよう。
凛とアマイモンのキャラクターのHPはどちらも引けを取らない。
『おおお!』
「フフフ、私は相当やり込んでいるからな」
「兄上ずるいです」
画面に顔を戻して感嘆の声を漏らす凛に、自慢気に話すメフィスト、そして不服そうなアマイモン。
しかしそれは一時であって、所詮は素人の凛はアマイモンのキャラクターによって呆気なく倒されてしまった。
『あ〜惜しい所まで行ったのにー』
「まぁ、私のお陰だがな」
「凛はボクにも勝てませんよ」
『何よボクにもって!私だって練習すれば…』
「いや、凛には無理だろうな」
『メフィストまで!』
「ボクにも勝てないようではまだまだですね」
『あんたら兄弟はー!!』
凛はつい勢いでメフィストカラーのコントローラーを投げ付ける。
そしてそれは勢いのあまり、接続部分が抜け宙をまいがつんと落ちた。
「私の特注メフィストカラーがーーー!!!」
『あ……』
「やってしまいましたね、凛」
ゆっくりとコントローラーから目線を凛に忍ばせるメフィスト。
「凛…………!!」
『わ、ああああああ…』
「兄上、大丈夫です。ボクが食べて差上げます」
メフィストはアマイモンの手の中にあるコントローラーに目をやる。
そのコントローラーは端がガタガタでかじられた様な後があった。
「アマイモン…!凛……!!」
『あああああああ!!』
「あー…」
こんな日があっても良いじゃない?
end
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モドル