『…ぐ、こうか!』
「凛うまいですね」
『全然っ!今にもアマイモンに負けそうなんだけど』
「フフ」
『うわ、腹立つ』
凛は両手に持っているメフィストカラーのコントローラーを適当にいじり回しながら何とかアマイモンのキャラクターを倒そうと試みる。
プレステ2の格闘ゲームを毎度の様にしているアマイモンにとって、全くと言って良い程ゲームの経験がない凛に勝つのはアマイモンにっては容易な事だった。
【YOUR WIN!!】
と軽快に画面に写し出される単語。
それは凛に敗北の意味をもたらした。
『あー!負けた、ってか勝てる訳無いよね、はは』
凛はコントローラーをその辺に投げ捨てるとコントローラーはがつんと音を立てて地に落ちた。
そしてそのまま両手を後ろに着く。
「あー、兄上特注のコントローラーが」
アマイモンは投げ捨てられたコントローラーを軽く手に取ると、それを口に運んだ。
『ちょ!アマイモン何してるの?!』
「なかなかうまいですね」
『いやいやいや!なかなかじゃなくて!』
凛はアマイモンの口からコントローラーを奪い取る。
「あ」
『とにかく!負けたままじゃ気が済まないからもう一回!!』
はい、とアマイモンにそのコントローラーを突きつける。
「これ凛の…」
凛はアマイモンの使っていたコントローラーと自分の使っていたコントローラーを差し替えながら言う
『そんなガタガタで唾液のついたコントローラー使うのなんて嫌よ』
差し替え終わると、凛は画面の手順をこなしていき、先程のバトル同様の画面へと持っていく。
「またですか」
『いいから』
そして画面でまたキャラクターが戦い出す。
後ろに誰が居るのかも気付かずに。
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モドル