「では、明日(ミョウチョウ)十五時開催ですので…」
「了解しました」












ハニーパーティー













「さあさあ皆さんお待ちかね、今回も始まりますよ〜!!スウィーツだらけの食べ放題☆その名も?!



かぁーんみさぁぁぁあい☆☆☆」


「「ヒューヒュー」」

パンッパーンッ
ドンドン
パフパフッ


メフィストの掛け声で同時にクラッカーにタイコ、ラッパが鳴らされる。
しかし紙吹雪きの中クルクルしてるのはメフィストだけだ。
タイコ、ラッパ役のアマイモンと日吉は椅子に座って怠そうにしている。

「もういいですか?」
「早く食べたいです」

そう、今日は甘味祭。
毎回メフィストの気分で不定期に開催される、スイーツ好きには堪らないパーティーなのだ。
日吉はこの為に朝から何も食べていない。

「何ですか二人して、もっとテンションを上げなさい!今日はスペッシャルディ☆なんですよ!」

「チョーウレシイデス」
「チョーオイシソウデス」


「「もういいですか?」」


「……全く、しょうがないですね。ではまあ始めましょうか、さあ!スタートです☆」


パッチーン☆


メフィストの指パッチンとお目々パチコーンによりいよいよ開始である。

と、同時に椅子から立ち上がる。

テーブルは二重の円の形になっていて、外側のテーブルに菓子類が、内側のテーブルが飲食ポイントだ。
外側は幅一メートル、半径三メートル程の半円形のテーブルが合わさって丸くなっていて、内側に直径約一メートルの丸いテーブルがある。
その真ん中のテーブルに二人はいた。

見渡す限りのお菓子たちは所狭しと飾られている。

一流ホテルのパーティーか何かですか?みたいな色とりどりの可愛らしく豪華で甘美なスイーツ達。

端から目を通していくと、これまた絢爛な器に盛られた様々なフルーツに、チョコフォンデュタワー、ケーキにパイの焼き菓子にジェラートの洋菓子達、練りきりに葛餅、どら焼羊羮等々の和菓子類。

積み重なる菓子達は、場所によってはアマイモンを隠してしまうくらい高くそびえ立っている。

それはもう不景気なんか吹っ飛ばせ☆なんて言うよりも、不景気にぶっ飛ばされそうなくらいである。

(「フケーキっておいしいんですか?」「アー兄、不景気は食べ物じゃないです」)

何せここにある大量のお菓子たちはメフィストにより三人の為だけに用意されたのだ。

それは芸術作品と言っても過言ではなく、崩すのが勿体なく感じてしまう。

しかし残念なことに、二人はそこよりも食べることの方に興味が有り、思い切りよく崩し始める。

大皿にどんどん乗せていき、どこぞのベテランウェイターさんですかばりにバランスを取っている。

取り敢えず第一段を取り終え、テーブルに戻る。
タン、タン、タンと置かれる皿には食べられればいいんですよと適当に盛られた美味しそうなお菓子たち。

ドリンクコーナーからアマイモンは紅茶、日吉は緑茶をチョイスし、隣り合わせにいざ食べ始める。


「…ん、これおいしいです」
「どれですか?」
「そのアー兄の右側にある白いの」
「あぁ…うん、おいしいです。これもイイですよ」
「どれ…」
「そこです、その目の前」
「本当だ、おいしいです」


メフィストは綺麗に菓子を盛り付けて、抹茶と共に二人の向かい側に座った。

「う〜ん、いいですね…この苦さと甘さの調和が何とも言えず味わい深いです☆」

こっちはこっちで満喫しているようだ。
眼前に座り仲睦まじく食べている下の子達を見ながら楽しんでいる。

そして二人は最初ということもあり、早々に大皿を空にして第二段を取りにいった。

「…二人とも、胃袋に四次元ポケッツでも付いてるんですかね……」

そんなメフィストの呟きは全く聞こえてない二人はチョコフォンデュ前にいた。

「若、はいアーン」
「アー兄もはい……苺おいしいです。」
「モグ…マシュマロもいいですね」

そしてナチュラルに食べさせっこをしていた。
刺しては付けて食べさせる。
何故自分では食べないのかよくわからないが、それを疑問に感じていないようなのでそれでいいのだろう。

「次いきましょうか」

液体チョコは満足したのか、また大皿を手にして盛り付ける。

第一段で気に入ったのや、取り逃したやつなどをまたこれでもかと盛っていく二人。


「アー兄、あの上の取ってください」
「これですか?」
「そこの段全種類です」
「……はい、これで全部ですね」
「ありがとうです」
「若、そっちの奥のやつ取ってください」
「これですか?はい、どうぞ」
「ありがとうございます」


そして再び盛りに盛った皿を持ち席に戻る。
第二段だからか、さっきよりも落ち着いて食べる。
食べていたのだが、日吉があるものを見つけて動きを止める。


「…メフィ兄、それどこにあったんですか」
「これですか?練り切りのあたりでしたかねぇ、食べますか?ほら」


メフィストは丸い団子状の草餅を串で刺し、日吉へ手を伸ばした。
日吉は少し身を乗り出し、それを食べようとする。

「パクッ」
「アマイモン!わ、私の唯一のチャンスを…!」
「うん、おいしいです」


しかし日吉よりも先にアマイモンが食べてしまった。
何も刺さっていない串が宙に悲しく残る。

「若、僕の所にもありますよ。はいアーン」
「あ、ありがとうございます」

貰えればどちらでも構わなかった日吉は、気にせずにアマイモンの草餅を食べる。

「………」

メフィストはまたと無いチャンスを奪われ一人落ち込む。
しかし二人は軽くシカトしながら尚も食べ続ける。
いくら好きだからといえども異常なくらい食べる。

「一回体を開いてもらってみたらいいんじゃないですか」

そんなメフィストのちょっと過激発言もさらっとスルーする二人。
メフィストは多少の哀愁を漂わせながらお茶をすすった。

その前では日吉がジャンボシュークリームに、大胆に噛り付いているところだった。

「鼻にクリームついてますよ」
「え?」
「ほら」

アマイモンは日吉の鼻に付いたクリームを指でぬぐい、日吉の口に指を持っていく。
日吉はアマイモンの指に付いたクリームを食べ、取りきれずに指残ったクリームをアマイモンが舐める。

その日常動作のような滑らかな流れ作業により、今までのほのぼのからはみ出たイチャツキを見ていたメフィストの中の、何かの臨界点を突破させてしまった。

「な、何ですかそのまるでこ恋人まるでバカップルみたいなそんなそんな……


兄はそんな子に育てた覚えはありません!!」


「僕は育てられた覚えはないです」
「何かダメなんですか?」
「大体にして、お前達はスキンシップが過剰すぎるんだ!」
「羨ましいんですか?というか、兄上のセクハラよりいいと思います」
「セクハラ最低ですね」
「紳士はセクハラなぞせん!」
「存在がもうソレですよね、ねー」
「ねー?」
「き、貴様等…!!」
「兄上、怒ると血圧あがりますよ」
「血圧あがるとダメなんですか?」
「言わせておけばこのっあっほら近い距離が近い!!」
「人間は血圧が上がるとあんまりよくないみたいです」
「じゃあメフィ兄は大丈夫なんですね」
「お前達は、人の話を…………聞け!!」





「「イヤです」」





モドル




日吉とアマイモンは実は結構仲良い。
そしてアマイモンはさり気なく日吉の常識を形成しているので、日吉はそれが普通になってるから違和感は特に感じません。
後々に他の人にやって「えっ?」ってなって気付きます。
メフィストは行き過ぎだと思うと口出します。
そんなね、そんな、ね^^

あのこ達は甘い物で形成されてるんだと思う。







モドル








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