『修司!助けに来たぜ!』『ぐっ、あ、彰…!何で来たんだ!ダメだ!!』『何でって、友達のピンチだからに決まってんだろ?』『友達…?』『俺と、お前、友達(ダチ)だろ?』

『しゅ、修司ー!!!』
『彰ー!!!』


ガシッ





メフィ兄のパソコンでヨーチューブとかいうのを見てたら
二人組の男が(きっと)感動的な演技をしていた。


「…………ともだち……」











キミは友達?












ともだちって、何だ
辞書に載ってるか?
メフィ兄、持ってないかな……





「どうしたんです、そんなに人の机を漁って」

「あ、お帰りなさい辞書ありませんか?」

「二段目の引き出しにありますよ」



二段目…?
さっきも見たけど、
辞書らしき分厚いものなんてない



「ないですよ」
「ありますよ」



ホラって取り出してくれたけどそれ、辞書?
ゲーム機じゃないのか



「これ、辞書なんですか?」

「電子辞書というものです。これ一つで複数の辞書が使える優れ物ですよ☆」



複数の辞書か、
すごいなこんなに薄いのに。
普通に開けばいいのか?



「……あ、電源ついた」



色々ボタンあるけど、
きっとこのコージ苑てやつだよな
見出し語検索、逆引き検索、慣用句検索、スペル検索………?
スペル?じゃないしな、慣用句でもないよな、逆じゃないし…



「見出しかな」



これで文字入れればいいんだろ。
メフィ兄が後ろでうんうん頷いててウザイ。
それくらい分かる!



「と も だ ち」

「友達を調べたかったんですか?」

「はい」



もうどっかに行ってもらってもいいんだけど
暇なのかな
あ、ここで何かすることあるのか?
…まあいいか



「親しくかかわっている人。とも。友人。……ともゆう?」
「“ほうゆう”です」

「………アリガトウゴザイマス」



クソッ、下剋上だ!



「親しくかかわっている、か」



親しくか、親しい?
親しいって、何だ



「し た し い、


……血筋が近い、なじみがある、身近、心にへだてがない」



血筋が近い?家族?兄弟?



「アー兄が?」

「ボクが何ですか」
「へぁっ!!」



アー兄いつから……気付かなかった
辞書に気をとられていたからといって、
後ろをとられるなんて!
メフィ兄はメフィ兄で
いつの間にかいなくなってるし。



「ボクが何なんですか?」



そういえばアー兄って、
友達いるのかな



「アー兄は、友達ってわかりますか?」

「トモダチ?」

「血筋が近かったり、なじみがあったり、心にへだてがない人みたいなんですけど」

「血筋……はぁ、うーん…………若ですかね」



やっぱりそうなのか
じゃあわかの友達はアー兄なんだ!



「ちょっと待ちなさい」



あ、また来た、
……お茶入れてたのか、
ありがとうございます

で、何を?



「確かにそういう解釈も出来るかも知れませんが、一般的には二人の関係は“兄弟”と言われるかと思います」

「…友達ではないんですか?」

「ふむ、これは感覚的な問題がありますからねぇ、一概には言えないのですが」



兄弟か……確かに、わかにとって
アー兄はお兄ちゃんだからな

じゃあわかは友達、いないのか……



「しかし、友達のような兄弟とか言うこともありますしねぇ」



そっか、両方でも有りなのか
じゃあそしたら



「若はボクのトモダチですね」

「ぁっ………はい」



何だろう、嬉しいな
友達、友達か、



「…若にはアマイモン以外にもいるでしょう」

「アー兄以外?」



誰かいたか?
血筋が近くて
なじみがあって
身近な、なじみのある………



「……雪?、も?」

「そうですねぇ、私が知っている限りではもっといるかと思われますが、…そのうちにわかるでしょう☆」

「兄上、ボクは?」
「お前は知りません」



雪は、友達、
わかの…、友達?



「………帰ります」

「気を付けるんですよ☆」















雪、寮にいるかな?


あ、



「雪!」

「?…どうしたの?」



よかった、寮に行く途中にいた
帰るとこだったのか?



「雪、あのっ…」

「何?」



…、なんとなく勢いで来たけど、
なんて聞けばいいんだ

雪は私の身近な人?
雪は私の馴染みの人?
雪は私の、私の



「ゆ、雪は…あの、私の、………友達か?」

「…は?」



………………え、
違うの?
何でそんなに怪訝そうな顔…
そっか……雪は、雪は、

違うんだ!



「あ…、何でもない、悪い、忘れてくれ」
「ちょっ若!待って!」



クソッ!何なんだよ!
離せよ!



「離せ!」
「ダーメ、どっか行っちゃうでしょ?」



もう、何なんだよ!
……ダメだ、何で、
凄い悲しい…



「若、若!聞いてる?」
「聞いてないっ」



…ため息ついた!
そんなに面倒臭いなら離せばいいのに!



「あのね、若、僕は前から若のこと、友達だと思ってたよ」



……え?…そうなの?
じゃあなんで



「ただね、当然だと思ってたことを急に聞かれたから、少し驚いたの」

「……本当、か?」

「うん、本当」



じゃあ、気付いてなかったのはわかだけ?
それで勝手に突っ走って
挙げ句に勘違いして?ああどうしよう、



「…はず」



やばい、顔が熱い、赤いかも…

笑うな!
頭撫でるな!



「フフッ、若、珍しいじゃない」

「うるさい、雪なんて





下剋上だからな!!」









モドル





はぁ…
さっきはいきなり友達宣言されて
びっくりしちゃった。
あれって完璧恋愛対象外ってこと?
はぁ、ショック…。

…まあ、珍しいもの見れたし、いいかな?
まだ望みはあるよね!


「頑張ろ」






若は無事奥村先生に会えましたかねぇ?
ちゃんと友達宣言してくれるといいんですが…


「ククッ、少しはへこんでくれましたかね☆」






モドル








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