「なまえチャン、」
名前を呼べば振り返る。
決まって肩をビクつかせる。
「どうしたの、荒北くん」
「んー呼んだだけだヨ」
そして君はいつも決まって困ったように笑顔を作る。
俺のことが苦手らしい。なまえチャンはヤンチャをしていた時代の俺を知っている。
福ちゃんと話すときはいつもあんなに信用しきった顔をするのになァ。
「そんなビビんないでよ、採って喰う訳じゃないんだから。」
「うん…ご、ごめんなさい!」
「やっぱヒビってるじゃナイ」
そんなに俺ばっかりにヒビるなら本当に採って喰うのもなかなかいいかと思った。とりあえず、今度のレースで優勝してからだ。うん、そこまでは耐えろよ俺の理性。
一狩りしようぜ!
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