「何しとんの、自分。」
「…気にしないで、」
「答えになってへんやろ。」
ほんま、キモいわなんて言って彼はケラケラ笑う。私は滴る雫をそのままに歩き続けた。
だけど少しして後ろから風圧を感じる。思わず振り向くと視界がシャットアウトした。
「それで拭きいよ、キモいから」
頭に被さったのがタオルだと気づいたときにはもう彼は後ろ姿。すざまじいスピードでその背中は小さくなる一方だ。
走ってるときの彼は本当にかっこいい。
目に焼き付いた姿を思い出すだけで、少なくとも一週間はあれらの仕打ちに耐える原動力になるんだ。
蹴散らせよコノヤロウ
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