ぶきっちょ/甘/ユウジ

「はぁ………」

今日で何回ため息をついただろう

そしてひたすら窓の外の風景を見る。
……教室の中をなるべく見たくないから



「一氏くんとあの子!!お似合いやわ〜」
「ほんまに!!付き合ってないの!?」
「もう付き合っとるやろ!!
あんな仲いいねんで!?」
「そやなぁ〜」




耳を塞ぎたくなる会話。
'あの子'が私ならいいのにという嫉妬で
泣きそうになる



最近やたら
教室に遊びに来る子がいた。
噂によると男テニのマネージャーらしい
しかも、ユウジが好きらしい
すぐわかった。
なんたって私も好きだから…

ユウジも最初は毛嫌いするように
避けていたが
だんだん会話をするようになった
ユウジにとっては
女子と会話をするのは貴重なわけで
周囲みんな驚いていた


「小春ちゃん一筋じゃないんかーい…」
窓を見ながら小さくつぶやく

「……このままとられちゃうんかなー」









「なにがとられるんや」

………え?


驚いてガバッと起き上がるとそこには
「…ユウジ」

「あんなぁ、ゆっとくけどおれは
あの女に一ミリも興味ないわ」

投げ捨てるように吐き出す言葉
まるで私の気持ちをしっているかのように


「……さっ、最近お前へこんどるやん
やから、元気づけたろおもただけや!!」

私はなにもいってないのに
ユウジの顔はだんだん赤くなっていく

……期待していいのかな?






「ありがと」

「おう」

「すき」






「おう」

ユウジはバンダナをちょっとさげた
「それ、照れてんの?」

クスッと笑うと
切れ長の目が私をにらみつける
「あほか、なんでお前に照れなあかんねん」




もうこれからは窓の外を見ることはなくなった。
そのかわり


……あっ
またユウジ寝癖ついてる


今度は斜め前を見ることが日課になりそうだ

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